#75
重みのある新人教育の勧め
新入社員が企業に初々しい息吹を吹き込む、桜の季節になりました。
大手企業の社長は、次のような訓示を持って、新入社員を迎え入れました。
ソニー、平井一夫社長
「会社が直面する課題に対し、自発的に行動してほしい」
トヨタ自動車、豊田章男社長
「もっと社会の役に立ち、お客様を笑顔にする車とは何だろうと、
一人ひとりが納得いくまで考えてほしい」
ローソン、玉塚元一社長
「高齢化などで、コンビニエンスストアには可能性がすごくある」
みなさんは、この訓示の抜粋を読み、どのような感想を抱くでしょうか。
よく言えば、簡単で分かりやすいとなりますが、
私の率直な感想は「軽い」です。
今日の企業経営者は、なぜ、このような表現をするのでしょうか?
それは、「簡単で分かりやすくないと若手社員は理解できない」
という社員教育のトレンドが出来上がっているからではないでしょうか。
私はこの傾向に、かなりの危機感を抱いています。
それは、簡単で分かりやすいに慣れてしまうと、
難しくて分かりにくいことには、対処できなくなると危惧するからです。
まるで、受験対策で、
「解ける問題から手をつけて、着実に点を稼げ」
と指導されたがごとく、社会人に対しても、
「難しい問題よりも、簡単なことから処理していけ」
という安易な行動を促しているような気がしてなりません。
新入社員に、
「君たちには無限の可能性がある」
と説くのなら、
「自分の力を信じて、何事にも挑戦せよ!」
との期待を、含蓄のある言葉で訴えてもいいのではないでしょうか。
ベストセラーの「海賊とよばれた男」の主人公となった出光佐三氏は、
次のような訓示を新入社員へ残しています。
「出光は事業会社でありますが、組織や規則等に制約されて、
人が働かされているたぐいの大会社とは違っているのであります。
出光は創業以来、『人間尊重』を社是として、お互いが練磨して来た道場であります。
諸君はこの人間尊重という一つの道場に入ったのであります」
現代の訓示と比べて「重み」があると思うのは、私だけでしょうか。
新人に与えられた特権は、失敗を許されることです。
であれば、企業を道場と見立てて、困難な課題を突き付け、
失敗に失敗を重ねても、成功するまでやり切らせる。
この繰り返しから、自立の礎となる耐力を身に着けさせるのが、
本当の愛情と言えるのではないでしょうか。
今年度社会人2年生になった、二人の我が子を見ても、
また、前職で関わった多くの仲間たちの現在の活躍ぶりを見ても、
この考えは正しいと、私は確信しています。
以上、「重み」のある新人教育の勧めでした。
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