#83
「やってみなはれ」の後押し
11月末に愛知県で開催された第52回技能五輪全国大会家具部門にて、
息子が銀メダルを獲得しました。
初出場となる昨年の同大会で敢闘賞を受賞し、「今年は、金メダルを取るぞ!」と、
声高らかに宣言した息子でしたが、この目標は叶いませんでした。
息子は、金メダルを取るための準備に万全を期せたかというと、そうではありません。
私のコラムの6月号(No.77 自分を追い込むには適度な休息も必要
http://www.h-mbo.com/pastcolumn_hirabori/no-77/ )
に息子が体調を崩したきっかけとなる出来事を記載しましたが、その後、体調は回復せず、
技能五輪の練習以前に、肝心の仕事が満足にできない状態が続いているからです。
技能五輪の競技は家具部門の場合、2日間で行われます。
第1日目:9時~17時15分
第2日目:9時~15時
休憩時間を除いた11時間30分が規程の競技時間になります。
昨年は2日目の一部だけを見学したのですが、今年は、息子が体調を壊したこともあり、
第1日目の午後から終了まで、息子につきっきりで応援しました。
(応援といっても声掛けは禁止なので、息子の姿をただ見守るだけなのですが)
2日間、息子の手元をじっと見続けて、
・大学を辞めて家具職人になりたいと言い出した時の息子の目
・心身喪失になって帰宅してきた息子の顔色
・気持ちがあっても、体がどうしようもないと嘆く息子の声
などなど・・・・・
色んな息子の表情が浮かびました。
そして、こんな思いに駆られました。
「なんだかんだあっても、好きな仕事に打ち込む人の姿は、感動を呼ぶ」です。
一心不乱に課題の制作に取り組む純真な心が、息子の手元に現れていました。
これは、息子以外の競技者にも当てはまります。
例えば、息子の隣の女性。
我々家族が到着した初日の午後、彼女は、何故か足を引きずりながら作業をしていました。
翌日、その理由がわかってビックリ。
競技が開始されて早々に、台の上の機械を移動させようとして自分の足の上に落としてしまい、
痛みがひどく、足を動かせなかったようなのです。
競技終了後に医者に行くと、足の甲の骨折と判明。翌日になっても、当然腫れはひきません。
松葉杖を使いながら、彼女は、最後まで競技を続けました。
そういえば、彼女が初日の競技を終えると、道具の片づけを仲間が手伝っていました。
競技中に審査員の許可を得て、彼女の足にシップを貼っていた女性もいました。
息子も同様です。
息子が修行している秋山木工の社長の秋山さんは2日間競技場を離れませんでした。
息子が名人と呼ぶ70歳を超えた職人さんも、自ら車を運転し会場に駆けつけてくれました。
その他にも秋山木工の多くの関係者方が、会場に足を運んでくれていました。
先に、
好きな仕事に打ち込む人の姿は、感動を呼ぶ!
と言いましたが、
多くの支援者のお蔭で、好きな仕事に打ち込める!
が正解なのでしょう。
ただし、銀メダルを獲得した息子が、この御恩に気づけているか気がかりです。
でも、心配は無用。
もし、感謝のない態度を息子が取ったら、秋山さんがどやしつけてくれると信じているからです。
子どもは中学生になったら親の手から放して、人様の指導に身を委ねる。
これは、私の子育て論の一つの指針です。
いつまでも、親の言うことを気にしている子どもの自由度は狭い。(自立の芽を摘む)
とは言うものの、未成熟な子どもは、まだまだ大人の指導を受けなければならない。
この役割を、親ではなく人様に委ねる。
まさに、“可愛い子には旅をさせよ”の言い習わしです。
二人の子どもしか育てていない私が、このようなことを偉そうに言えるのは、
あり得ない(有難い)人様方に息子がお世話になっているからです。
ただ、私が息子にしてあげたと言い切れることが、一つだけあります。
それは、息子が、「大学を辞めて家具職人になりたい」と言い出した時に、
「やってみなはれ」と賛成してあげたこと。
子どもが、何かをやりたいと言い出したら、四の五の言わずに、
「やってみなはれ」と後押しして上げる。
こんな子離れをする気概を、親も持つべきなのではないでしょうか。
※「やってみなはれ」は、サントリーの創業者鳥井氏の専売特許。
NHKの朝ドラ「マッサン」でも鳥井氏を演じる堤真一がこの名言を口にしています。
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