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仕事が楽しい人を増やす会Meeting to Increase People Who Enjoy Work

「本当に仕事を楽しくするには、本気の努力が必要だ」
「本当の仕事の楽しみを得るには、それ相応の苦しみがともなう」
これらの実体験話を、あらゆる業種・職種に従事する人たちから教えていただき、
その内容をレポートします。

このレポートを多くの人たちに読んでいただくことで、
その人たちがこれまで培ってきた仕事の楽しみを再発見していただき、
この気づきをきっかけとして、今まで以上に価値のある仕事に取り組んでいく。
このような好循環の流れを生みだす一助を担えたらという思いで、
これから楽しく仕事をする人を増やす会を運営し、取材レポートを作成していきます。

仕事が楽しい人 File.73

露木一博さん

職業: 和太鼓奏者
所属: 東京打撃団

遅刻したら大きな声で挨拶

 

第73番目の仕事の楽しい人は、和太鼓奏者の

露木一博さんです。

 

太鼓というと私は、幼少時代に夏祭りで引いた山車を思いだします。

“ドンドン、カッカッカ、ドドドン、カッカ”と太鼓をたたきたくて、お祭りの世話人に「次は、自分にやらせて」とおねだりしたものでした。

 

和太鼓の歴史は古いのですが、露木さんのようにエンターテイメントとして聴衆を楽しませる団体が結成されたのは、ここ数十年のようです。

人の心を震わせる太鼓の振動、この他の楽器では体感できない感覚が多くの人たちを引きつけ、今では、和太鼓の公演はかなりポピュラーになりました。

 

露木さんが、和太鼓奏者を目指したのは、大学生時代。

芸術学部を専攻し、俳優を目指して劇団で汗を流す、そんな日々を過ごしていた4年生の秋、キャンパスで空をぼ~っと眺めていると、何とはなしに、

「プロの和太鼓奏者になりたい」

との思いがこみ上げてきたのだそうです。

 

思い立ったら吉日と露木さんは、信頼している日本舞踊の先生に、東京打撃団への入団について相談。すると、偶然なのか必然なのか、先生がこの団に親交があり賛成してくれました。

 

露木さんが、東京打撃団の事務所に電話して入団したい旨を伝えると、

「年明けの元旦に、六本木ヒルズで演奏会があるので、そこに来なさい」

と、言われました。

 

指定された日、露木さんは、六本木ヒルズで迷ってしまい、約束の時間に5分遅刻。

最初にこのような失態をさらしてしまっては、入団はできない。

何とかしなければと考えた露木さんは、大きな声で、

「おはようございます」

と挨拶。

続けざまに、「何をしたらいいですか」と、叫びました。

そして、演奏会の裏方の仕事に懸命に取り組み、終わると、研修生としての入団が認められました。

 

練習を始めた当初は、バチがヌルヌルと血に染まり、治る間もなく太鼓を打つ。この繰り返し。

 

30分間、同じリズムで太鼓をたたき続ける練習、これもつらい。

でも、この練習は打撃の基礎力を鍛える上で必須。

つらさを緩和させるために、露木さんは、時計を見ないで無心で太鼓に向かいます。

時計を見てしまうと、

「3分しか経っていない。あと、27分は長い」

という、後ろ向きな考えが頭に充満してしまうから。

 

この練習中に、

「腰が落ちてきたぞ」

「呼吸が荒くなってきたぞ」

「左右のバランスが崩れてきたぞ」

と、自分と対話しながら修正する。

自分が目指す太鼓演奏の支えになると信じて、露木さんは続けています。

 

加えて、太鼓の練習で苦労するのは、場所の確保。

太鼓は、音だけではなく振動も大きいので、防音と防振が整っていなければならないから。

 

さらに、持ち運びも大変。

三味線や尺八、これらの楽器は手で運べますが、太鼓は、車での移動になります。

なので、演奏会が終了した後の大きな楽しみの、仲間たちとの打ち上げもできません。

車の運転をしなければならいから。

 

どんな分野でも下積みや繰り返しの練習はつきもので、つらいモノ。

ところが、太鼓は、練習場所の確保や移動に苦労する。

このような話を露木さんから伺ったのですが、露木さんの表情は、いたってにこやか。

「大変です」と、言葉で発していますが、表情は楽しそうなのです。

 

その訳を、“太鼓はコミュニケーション”でご紹介していきます。

 

露木さんが大切にするキーワード

笑顔と感謝と思いやり

思いやりがあれば、お互いが良い距離感を保ち、協力し合えます。

このキーワードを題材にして、大学の時、太鼓の曲を作りました。

曲名は、感謝と書いて「くんさー」と読む。

「かんしゃ」→「かんさ」→「くんさー」と、自分で読み方を変換しました。

 

露木さんのパワー○○

鶏の唐揚げを食べる

これさえあれば、どんな時でもご機嫌でいられるほどの大好物。

毎日食べたいのですが、健康を考慮して控えています。

 

露木さんのコツコツ

手帳にプチ日記を書いている。

主に、その日に食べたものが書いてあります。

食べたものがわかると、その時のできごとや感覚を鮮明に思いだせる特殊能力があります。

 

太鼓はコミュニケーション

 

露木さんは、太鼓を始めた年齢が遅かったことを言い訳にしたくなかったので、キャリアの長い人たちと、一味違った演奏者を目指してきました。

そのコンセプトは、

「お客さんを楽しませるパフォーマンス」

です。

 

和太鼓奏者になる前は俳優を志しお芝居もしてきたので、この経験と技術を生かそうと発想しました。

人間的に成長して、自分が理想に近づけば、自ずと太鼓の技もついてくる。

この考え方を土台にして、

「お客さんを楽しませるパフォーマンス」

を追求しています。

 

そのために、腹を立てない。たとえ腹が立っても、表に出さない。

ネガティブな言動は排除し、常に笑いを絶やさない。

このように、ぽわっと温もりのある人柄に磨きをかけています。

 

そして、相手の話をしっかり聞いて、なにか意見があれば正直に伝える。

これを繰り返していくと、とげとげ、ガッチガチではなく、柔らかい人間になっていくような気がする。

そうすれば、鳥が木に集まるように、自分にも温かい人が集まってくると信じているのだそうです。

ここで、露木さんは、私に、

「平堀さん、一期一会って、確かにそうなんですけど、なんだか、二度と会えないことを前提に人と接するって寂しく感じるんです。一度だけではなくて、何回も会いたいな。自分はそう思うんですよね。」

と、語り掛けます。

露木さんは、一期一会の意味を理解しつつも、「また、会おうね。また、会えるよね」の思いを前提に、人と接したいと訴えているのでしょう。

 

こんな露木さんなので、演奏を聴いた人から、

「あなたの打つ太鼓の音が好きです。また、聴かせてください」と言われると、一人の人間としての自分を認められたと感じられるから、この上なく嬉しいのだそうです。

 

露木さんは、演奏活動以外に、文化庁認定のNPO団体からの依頼で小学校をまわり、太鼓のワークショップを、一人で実施しています。

「成人するまでには、1回は和太鼓打ってもらいたい」

との願いを果たすために。

 

ワークショップでは、

何台か並べられた太鼓の横に子どもが立ち、隣の人が太鼓を打ったら“ドン”とリレー方式でたたいていく。

次に、目をつぶって、同じことをしてもらう。

惰性で打たずに、隣の太鼓の音に気持ちを集中させて、“ドン”と打つように指示するが、順番を抜かされてしまう子どもも出てくる。

この時に、へらへらと笑いながら、「あっ、抜かされちゃった」と、言ってはいけないと注意する。

きちんとした言い方で、「自分の番を抜かされました」と発言せよと、子どもたちに訴えます。

繰り返すうちに、順番通りに太鼓をたたこうという意識が高まってきます。

真剣な雰囲気になってきたところで、6人一組での

「ソーレ、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ソーレ」

の演奏に移ります。

ここで、「ソーレ」の掛け声を発するリーダーを決めるように指示します。

すると、「私がやります」とは、なかなか手は挙がらず、「お前がやれよ」と目くばせする子どもが出てきます。

そんなこんなしていると、「この子が!」と思うような普段おとなしい子が手を挙げて、リーダーを買って出てきたりします。

リーダーの「ソーレ」の掛け声を合図に、

「ソーレ、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ソーレ」

の演奏を繰り返していくと、

太鼓の音がだんだんと大きくなり、リーダーの「ソーレ」の掛け声にも力がこもってきます。

それにつられて、子どもたちが太鼓を打つ力も強くなります。

結果、熱のこもった演奏が繰り出されるのです。

 

この変化に、子どもたちも、先生たちも気づきます。

この瞬間を捉えて、露木さんは、

「太鼓をたたくのは、コミュニケ―ションと同じ。

この演奏と同じように、これからは、勇気を持って、自分の思いを声(音)に出そう」

と、訴えるのだそうです。

 

露木さんも、小学生時代は、人見知りでした。

東京打撃団に入団した時にも、「自分は人見知りです」と言っていました。

露木さんは、太鼓の技量を高めるための人間力磨きから、自分は人見知りだと他者に言うことは、「自分に近づかないで」とサインを送っていることに等しいと気づきました。

そして、自分が自分を人見知りと捉え縛りつけているのはおかしいと思えるようになり、結果、自分から他者に話しかけられるようになりました。

 

露木さんは、この実体験をワークショップのプログラムに込めて、小学生たちに接しています。

露木さんのこの熱い思いに乗せられて、だんだんと力強く太鼓をたたきだす子どもたちの様子が、目に浮かんできます。

 

露木一博さんのプロフィール

職業: 和太鼓奏者

所属: 東京打撃団(http://www.dagekidan.com/info/

 

和太鼓奏者とは?(ミュージシャンで代用)

(13歳からのハローワーク公式サイトから抜粋しました:和太鼓奏者の記載がなかったため、類似している仕事と思われる、ミュージシャンを転載しました)

ポップミュージックのソロ歌手やバンドが、レコーディングやライブコンサートをするときに、伴奏する。作曲や編曲をすることもある。楽譜が読めることが最低条件で、高い演奏能力が求められる。フリーで仕事をする人もいれば、「インペグ」と呼ばれるミュージシャン斡旋業者に登録しているケースもある。鍵盤楽器・弦楽器・管楽器奏者は、音楽大学などで専門教育を受けるのが一般的。エレクトリックギターやベースなどの電気楽器、パーカッションなどは、必ずしも専門教育の必要はないが、たとえばラテンパーカッションなどでは海外の本場で演奏経験があるとか、有名ミュージシャンと一緒にバンドを組んでいたとか、音楽的な知識や体験が豊富だとか、成功するためにはそういった付加価値が求められる。どの楽器も競争はかなり激しいので、卓越した演奏能力と同時に、コミュニケーション能力も重要で、良い人的ネットワークを持っているほうが有利である。

 

和太鼓奏者に求められる能力

思い立ったが吉日:思いついたら、即、行動する力

大きな声:ミスを悔やんで終わらせず、できることを精一杯行い、カバーする力

思いやり:他者が、楽しく、温かく、柔らかい気持ちでいられるように気配りする力

長所を生かす力:短所を嘆くのではなく、長所磨きから課題を突破する力

基礎力:基礎訓練を、当たり前に繰り返す力

仕事が楽しい人 Back Number

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