#12
フルマラソンから学んだこと
あけましておめでとうございます。本年が皆様にとりまして素晴らしい年になりますことを祈念いたします。 さて、2009年1月のコラムは、昨年末に念願のフルマラソンに参加した体験談を述べさせていただこう。フルマラソンは人生そのものによく例えられるが、経験してみて全くその通りだと痛感した。以下に、フルマラソンから得た気づきを整理する。
◆万に一つはあり得ない
切羽詰まると、万に一つの可能性に賭けてみようと思う時があるが、フルマラソンでは、万に一つの賭けに出て、これまでの記録を大幅に上回ることはない。実力以上の成果を望んではいけないのだ。
◆掛け算の目標設定に意味はない
ハーフマラソンの記録を基にして、その倍の時間をフルマラソンの目標タイムに設定することは愚行以外の何物でもない。ハーフマラソン(約21Km)とフルマラソン(約42Km)の距離は倍の差ではなく、別物と見なさなければならない。従って、ハーフマラソンでいい記録を出せたからといって、フルマラソンの記録が伸びるとは限らない。2008年の大阪国際女子マラソンで1万メートルの記録保持者である福士が倒れたのを忘れてはならない。
◆相対評価が身を滅ぼす
あくまでも自分の実力に合ったペースを維持することに意識を集中すべし。前を走っているランナーや抜いていくランナーに気を取られると、自分のペースを崩し体力を消耗してしまう。
◆レース中の負けん気根性は役に立たない
相対評価にも関連するが、他者に気を取られて『負けるもんか』と息巻いて走ると自滅する。負けん気根性は練習の際に発揮すべきものである。朝起きるのがつらくて『昨日走り込んだから今日は練習しなくてもいいか』という甘い囁きに対して『こんな誘惑には負けないぞ』という具合にだ。
◆つぶれたらレースはおしまい
レース中にどこか故障して走れなくなったら、そのレースは当然終わる。もちろん、レースはその後に何回でも参加できるが、そのレースでは結果を出せない。従って、故障なく走り切ることが最重要となる。
◆体調管理に万全はない
昨年の北京オリンピックのマラソンや、今年の箱根駅伝でも故障者が出た。彼らはプロフェッショナルで体力も我々とは比べ物にならない位ある。そして、レース当日には最高の体調になるよう調整もしている。にも関わらず体調不良や故障者が現れるのだ。万全を期しても何が起きるかわからないのが体調であることを心得て、日頃の管理をしなければならない。
◆これまでの記録との比較に意味はない
フルマラソンは多数の大会が開催されているが、以前の記録と比較しても意味はない。気候条件や地理的な条件の違いにより、走りにかかる負荷は異なるからだ。湿度や気温が高ければ汗をかき脱水症状になりやすくなるし、コースに高低差があったり、逆風が吹けば、体力はあっという間に消耗する。雨も然りである。
◆Wantが考え方を変える
私は、今回30Km過ぎに膝を壊してしまい、残りの12kmを歩いてしまった。自業自得なのだが、次回の大会で完走するために練習方法を研究してみた。その一つに坂道トレーニングがあった。これまでは、坂道の上り下りは苦しいため避けて練習していたのだが、膝痛を克服するには坂道トレーニングが有効であると知った途端に、坂道を見ると『おっ!お手頃の坂道があるぞ』という意識に変わった。
◆時間は有限である
ということで、3月に千葉県佐倉市で開催されるマラソン大会に向けて、膝の強化と持久力向上の練習計画を練ってみた。ストレッチ、下半身強化の補助運動、そしてランニングのメニューを立案すると、毎日1時間30分程の時間が必要となる。他にやるべきことは沢山あり、この時間は並大抵なことでは確保できない。従って、2009年はプライベートで実現することをフルマラソンの完走に絞り時間を投下することにする。好奇心は自己啓発の母で、色々なことに興味を持つことは素晴らしいことなのだが、何事も一つのことを達成してから次があることを肝に銘じていく。
ということで、私の2009年の年頭所感は“一意専心” とした。
2009年も“HOT WILLer(熱い志を持った人)へのエール”を熱く語っていくので、乞うご期待あれ ※HOT WILLerとは、「独自の志を持ち、その実現に向けた活動を実直に続けている人」を指す。この方々に向けた応援メッセージを毎月贈り続けている。※