#89
経営理念・行動指針に効用はあるのか?
みなさんが勤務する会社に、経営理念や行動指針はあるでしょうか?
私のコンサルティング経験では、大半の企業に経営理念があり、ホームページなどに
掲載しています。
ところが、経営理念の浸透度は?と問われると、ほとんどの企業が不十分であると
応えざるを得ない状況です。
そこで、今回のコラムでは、
経営理念・行動指針に効用はあるのか?
をテーマに取り上げてみました。
次の行動指針をご覧ください。
1.ユーザーに焦点を絞れば、「結果」は自然に付いてくる。
2.1つのことを極めて本当にうまくやるのが一番。
3.遅いより速い方がいい。
4.ウェブでも民主主義は機能する。
5.情報を探したくなるのは机に座っているときだけではない。
6.悪事を働かなくても金儲けはできる。
7.世の中の情報量は絶えず増え続けている。
8.情報のニーズはすべての国境を越える。
9.スーツがなくても真剣に仕事はできる。
10.すばらしい、では足りない。
みなさんは、この行動指針を読んでみて、どのような印象を持たれましたか。
とある企業にこの指針を紹介したところ、
10.すばらしい、では足りない。
が、心に響いたと、多くの幹部社員が絶賛していました。
この行動指針ですが、Google社のもので、
“Googleが発見した10の事実”
と題されています。
さすがGoogle、ユニークな指針を作るものだなと感心してしまいます。
ここで、今回のコラムのテーマ、
経営理念・行動指針に効用はあるのか?
について、Googleの今日の成長ぶりから鑑みて、一目瞭然でしょうとまとめたいところなの
ですが、少々手抜きが過ぎないかとお叱りをいただきそうなので、誠にお恥ずかしいのですが、
私個人の事例を上げさせてもらいます。
以下は、今から20年程前、二人目の子どもが生まれた際に私が作成した、
平堀家家訓です。
私たちは嘘いつわりのない正直な生き方をしなければならない。
私たちは、他人の短所が見えたら自分の短所を思い浮かべ、
他人の長所に触れたら素直にそれを受け入れて生きていく。
私たちは、多くの人々の援助の下に存在していることを常に自覚し感謝して生きていく。
他者に夢(陽)とエネルギー(陽)を与えられるように生きていこう。
この世に生まれ出でたからには、何かを残したい。自己主張したい。
そのために日々自分に挑戦し(自己を開拓して磨く)、自立し(己の力で切り拓く)
逞(拓磨)しく生きていかねばならない。
私たちは何時如何なるときも、固い絆の下に生き続ける。
揉め事や争い事は否としないが、その前提として我々の絆は損なわないことを約束する。
この家訓には、長女(陽:みなみ)と長男(拓磨:たくま)の名前を入れ込みました。
我が子については、何回か本コラムに示した通り、立派に自立の道を歩んでくれています。
今回結びにご紹介したい我が家の人物は、かみさんです。
私の両親と長年同居し、世間一般に生じる、嫁姑の軋轢が絶えることがなかったのですが、
先日、かみさんがこんなことを言い出したんです。
「おかあさんに嫌味を言っても、結局自分の気分が悪くなるだけで、自分自身も楽しくない。
だから、金輪際、そういう態度を取るのを止めようと思うの。昨日の朝、おかあさんに、
「今までごめんなさい」と謝ったら、すっきりしちゃった。」
まさに、かみさんが、家訓を実践してくれた真実の瞬間。
それから、数か月が経過した夕食の時に、娘が、
「おかあさんのお蔭で、我が家が明るくなったよね。おかあさんって凄いよ。
私も、上司のこととかでくよくよするの、やめよう!」
と、感心しきり顔で言っていました。
Googleではなく、当家にもこのような効用があるのですから、
経営理念・行動指針には、間違いなく効用がある。
読者のみなさん、これだったら説得力ありますよね。
経営理念・行動指針の作り方については、またの機会に解説させていただきます。