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気になる! 隣りの会社の人事の仕組み|アンケート調査レポート|若手社員に聞いた「配属ガチャ」の実態

11 分前
読了時間: 13分

カプセルトイの販売機を前にすると、「何が出るか分からない」という期待と不安が入り混じります。欲しかったものが出れば「当たり」、狙っていなかったものが出れば「外れ」。同じ金額を払っているはずなのに、手に入るものは運次第で変わります。

こうした“ガチャ”になぞらえて、近年では「親ガチャ」「上司ガチャ」「配属ガチャ」といった言葉が使われるようになりました。その中でも、新卒社員や若手社員の働き方と深く関わるのが「配属ガチャ」です。

配属先は、その後の仕事内容や人間関係、働く場所、キャリア形成にまで影響します。一方で、本人がすべてを自由に選べるわけではありません。そのため、自分ではコントロールできない会社側の判断によって働く環境が大きく変わることを「ガチャ」に例えるわけです。

では、実際の若手社会人は「配属ガチャ」という言葉をどの程度知っているのでしょうか。また、どのような条件を「外れ」と感じ、もし外れた場合にはどのような行動を取ろうとするのでしょうか。

今回は18歳~29歳の若手社会人を対象に実施したアンケート結果をもとに、「配属ガチャ」に対する若手社員の意識を見ていきます。

 

※本記事の編集にあたり、1000名を対象にアンケートを実施しました。質問の内容は「あなた自身あるいはあなたの周囲に配属ガチャはありますか?」「『配属ガチャに外れた』と感じさせる要因は何ですか?」「『配属ガチャに外れた』と感じたら、次にどんな行動を採りますか?」です。また、「勤務先の従業員数」「勤続年数」にも回答いただき、詳しい傾向の分析に用いました。記事内では有効回答として得られた828名の回答の集計結果を公開させていただきます。



1.配属ガチャの認知度

まず、「配属ガチャ」という言葉を知っているかを尋ねました。

 

 

スクリーニング調査の有効回答828名のうち、「知っている」と回答した人は386名で46.6%、「知らない」と回答した人は442名で53.4%でした。

若手社会人を対象にした調査であることを考えると、意外な結果かもしれません。SNSやインターネット上では「配属ガチャ」という言葉を目にする機会が増えていますが、18歳~29歳の若手社員全体にまで広く定着しているとは言い切れないようです。

一方、会社規模別に見ると認知度にはある程度の差がありました。従業員数1~50人の会社では36.1%だったのに対し、51~100人では46.8%、101~300人では52.3%、301~1,000人では46.2%、1,001人以上では52.4%でした。

特に従業員数1~50人の小規模企業では、「配属ガチャ」という言葉の認知度が低い傾向があります。

理由の一つとして考えられるのは、「配属」という出来事の重みの違いです。従業員数が少ない会社では、部署・職種・勤務地の選択肢が限られている場合があります。「営業部になるか、企画部になるか」「東京勤務になるか、地方勤務になるか」といった選択肢が少なければ、入社後に“どこへ振り分けられるか”を意識する機会も少なくなります。

反対に、複数の部署・職種・勤務地を抱える企業では、同じ会社に入社しても、配属先によって働き方が大きく変わることがあります。同じ採用区分で入社した同期であっても、一方は希望する仕事に就き、もう一方はまったく希望していなかった仕事を担当する。こうした差が目に見えやすい環境ほど、「配属ガチャ」という言葉にも実感を持ちやすいのかもしれません。

ただし、ここで注意したいのは「配属ガチャ」という言葉を知らないことと、配属に対する不満がないことは同じではない点です。

実際、今回の調査では「配属ガチャ」という言葉を知らない人の中にも、自分自身や勤務先、知人において「配属ガチャに相当するような実例がある」と回答した人がいました。

言葉を知っているかどうかは、あくまで認知度の問題です。その裏側には、「希望と異なる配属だった」「配属先の上司に恵まれなかった」「想定していた働き方と違った」といった経験が、別のかたちで存在している可能性があります。

企業が若手社員の配属に関する不満を把握する際も、「配属ガチャという言葉を使っているか」だけを見るのでは不十分でしょう。「入社前に想定していた仕事と現在の仕事にどの程度ギャップがあるか」「配属理由に納得しているか」といった、より具体的な問いで確認する必要があります。

 


2.配属ガチャを経験した人の割合

続いて、自分自身や周囲に「配属ガチャの実例」があるかを尋ねました。

 

 

有効回答828名のうち、「自分自身に実例がある」と回答した人は152名で18.4%、「勤務先に実例がある」は115名で13.9%、「知人に実例がある」は99名で12.0%でした。

複数回答を整理すると、少なくともいずれかの実例がある人は325名、全体の39.3%です。

一方、「実例はない」と回答した人は503名で60.7%でした。

つまり、約6割は身近な実例を認識していないものの、約4割は自分または周囲で「配属ガチャ」と呼べるような出来事を認識していることになります。

さらに興味深いのが、「配属ガチャ」という言葉の認知と実例経験との関係です。

実例がある325名のうち、「配属ガチャ」という言葉を知っていた人は73.8%でした。一方、実例がない503名では、認知率は29.0%にとどまっています。

逆に、「配属ガチャ」という言葉を知っている386名に絞ると、その62.2%が何らかの実例を挙げています。言葉を知らない442名では、実例ありは19.2%でした。

この結果からは、配属ガチャという言葉の認知と実際の経験との間に強い関連があることが分かります。ただし、この調査だけで「経験したから言葉を知った」のか、「言葉を知っていたから出来事を配属ガチャと捉えた」のかまで判断することはできません。

たとえば、自分の配属に不満を感じて検索した結果、「配属ガチャ」という言葉を知る人もいるでしょう。反対に、あらかじめSNSなどで言葉を知っていれば、同期との配属差を見たときに「これは配属ガチャだ」と認識しやすくなることも考えられます。

会社規模別では、従業員1~50人の会社で「実例あり」が25.9%だったのに対し、51~100人では45.3%、101~300人では46.3%、301~1,000人では41.3%、1,001人以上では42.0%でした。

ここでも、小規模企業だけが低く、51人以上ではおおむね4割を超えています。ただし、企業規模が大きくなるにつれて右肩上がりに増えているわけではありません。

そのため、「大企業ほど配属ガチャが起きやすい」と単純化するのは適切ではなさそうです。

むしろ一定以上の組織規模になると、複数の部署や職種、人員配置が存在することで、本人の希望と会社側の配置判断が食い違う余地が生まれる。従業員数そのものより、選択肢の多さが重要かもしれません。

人事担当者の立場で考えると、ここで問題になるのは、配属希望が100%通らないこと自体ではありません。企業には事業上必要な人員配置があり、すべての社員を希望部署に配置することは現実的に困難です。

重要なのは、「なぜこの部署なのか」「この配属で何を期待されているのか」「今後どのようなキャリアの可能性があるのか」を、本人が理解できる状態にすることです。

結果を変えられなくても、納得感は変えられます。「理由を明かされることなく押し付けられた」と感じる配属と、「理由を説明された上で任された」と感じる配属では、社員の受け止め方は大きく違うでしょう。

 


3.配属ガチャの「当たり外れ」

では、若手社員は具体的に何をもって「配属ガチャに外れた」と判断するのでしょうか。

本調査では、配属ガチャに外れたと感じる要因を最大3つまで選んでもらいました。回答者は287名です。

 

 

最も多かったのは「業務内容」で86名、30.0%でした。次いで「上司」が74名で25.8%、「勤務時間」が63名で22.0%、「働き方」が55名で19.2%、「先輩・同僚」が54名で18.8%となっています。

その後は「部署」52名・18.1%、「勤務地」49名・17.1%、「人員構成」48名・16.7%、「キャリア」46名・16.0%と続きました。

ここで注目したいのは、「配属ガチャ」と呼ばれているにもかかわらず、実態は配属先である「部署」そのものが1位ではなかったことです。

「配属ガチャ」という言葉からは、「希望の部署に行けたら当たり、希望していない部署なら外れ」といった構図を想像しがちです。しかし実際の回答を見ると、若手社員は配属先の名称だけで当たり外れを判断しているわけではありません。

むしろ、「そこで実際に何をするのか」「誰の下で働くのか」「何時まで働くのか」「どのような働き方になるのか」といった、配属後の日常そのものが重視されています。

これは企業側にとって重要なポイントです。

仮に本人の希望していた部署へ配属できたとしても、担当業務がイメージしていたものと違う、上司との相性が悪い、長時間労働が続く、柔軟な働き方ができないといった問題があれば、本人は「当たり」とは感じない可能性があります。

回答を大きなカテゴリーに整理すると、「仕事内容・配置・キャリア」に関する項目を少なくとも一つ選んだ人は53.7%、「労働条件・場所」は46.0%、「上司・先輩・同僚など人間関係」は38.7%でした。

つまり配属ガチャは、単なる「部署選び」の問題ではありません。

仕事内容、労働条件、人間関係、勤務地、キャリアという複数の要素が、一つの「配属」という決定に紐づいていることが、ガチャ感を生み出していると考えられます。

特に「上司」については、さらに踏み込んで見る必要があります。

自分自身に配属ガチャの実例がある135名に絞ると、「上司」を外れ要因に挙げた割合は34.1%で、「業務内容」の31.9%を上回り1位となりました。

配属ガチャを第三者の立場で見ると「仕事の内容」が目につきやすい一方、実際に自分が経験すると「誰の下で働くか」の影響がより大きく感じられるのかもしれません。

若手社員にとって上司は、仕事の教え方、評価、仕事量、職場の雰囲気、キャリア支援など、日々の就業環境を大きく左右する存在です。

通常、業務上の困りごとはまず上司へ相談することが想定されます。しかし、その上司自身が悩みの原因であれば、「上司に相談する」というルートが使えません。つまり、上司が配属の「外れ要因」になった場合には、問題解決が難しくなる可能性があります。

 


4.配属ガチャに外れたときの行動

最後に、「もし配属ガチャに外れたとき、どのような行動を取るか」を最大3つまで選んでもらいました。

 

 

最も多かったのは「仕事でやれるだけのことはやってみる」で72名、25.1%でした。僅差で「転職活動を始める」が69名、24.0%と続きます。

その後は「指示されたことだけを淡々とこなす」45名・15.7%、「家族・友人に相談する」43名・15.0%、「インターネットやAIで対処法を調べる」42名・14.6%、「社内で希望の仕事に就くための条件を調べる」39名・13.6%、「資格の勉強を始める」38名・13.2%となりました。

「上司に相談する」と「仕事の手を抜く」はそれぞれ29名・10.1%、「異動願いを出す」は22名・7.7%、「専門家やインフルエンサーに相談する」は16名・5.6%、「人事に相談する」は14名・4.9%でした。

この結果だけを見ると、「仕事でやれるだけのことはやってみる」と「転職活動を始める」という、一見すると正反対の回答がほぼ同じ割合で並んでいます。

しかし、これは矛盾ではありません。

「社内で希望の仕事に就くための条件を調べる」「資格の勉強を始める」「仕事でやれるだけのことはやってみる」など、情報収集や自己改善に関する行動を少なくとも一つ選んだ人は44.6%でした。若手社員の多くは、配属に不満があったとしても、自分一人で状況を改善しようとしていることが分かります。

一方で、「異動願いを出す」または「転職活動を始める」を選んだ人は30.3%、「指示されたことだけを淡々とこなす」「仕事の手を抜く」といった消極的な適応を選んだ人は24.7%でした。

これは「外れたら即退職」という単純な話ではありません。努力して適応しようとする人もいれば、社内での改善には限界があると判断して、外へ出ようとする人もいる。その途中で、仕事へのエネルギーを落としてしまう人もいます。

企業にとって特に注意したいのは、「異動願いを出す」が7.7%なのに対して、「転職活動を始める」が24.0%だったことです。

配属先に問題があった場合、会社側から見れば「辞める前に異動を希望してほしい」と考えるでしょう。しかし若手社員側では、社内異動より転職の方が現実的な選択肢として認識されている可能性があります。

たとえば「業務内容」を外れ要因として選んだ人では、「異動願いを出す」人が16.3%だったのに対し、「転職活動を始める」人は31.4%でした。

「勤務地」を外れ要因とした人でも、「異動願いを出す」16.3%に対して「転職活動を始める」32.7%です。

本来なら、業務内容や勤務地は社内異動によって解決できることもあります。それでも転職の方が選ばれるということは、「異動できるか分からない」「希望を伝えても通らないだろう」「いつ実現するか分からない」と考えられている可能性があります。

また、勤続年数別では、入社1~2年目の回答者で「転職活動を始める」が36.5%に上りました。3~5年目では20.6%、6年目以上では10.0%です。

今回の調査は18歳~29歳を対象とした横断調査であり、「勤続年数が長くなるほど必ず転職意向が下がる」と因果関係まで断定することは、もちろんできません。それでも、入社して間もない層ほど、配属への不満をきっかけに会社を変える選択肢を持ちやすいことは読み取れます。

入社直後は、その会社で築いた人間関係やキャリアの蓄積がまだ少ない時期です。そのため、「この環境で数年我慢する」よりも、「早いうちに自分に合う会社へ移る」と考えても不思議ではありません。

そして、今回の結果でもう一つ見逃せないのが、社内の相談先が必ずしも上位に選ばれていない点です。

「家族や友人に相談する」は15.0%、「インターネットやAIで対処法を調べる」は14.6%でした。それに対して、「上司に相談する」は10.1%、「人事に相談する」は4.9%です。会社の外に答えを求める行動が、社内の正式な相談先を利用する行動より多く選ばれています。

特に、「インターネットやAIで対処法を調べる」14.6%は、「人事に相談する」4.9%の約3倍です。ただし、この設問はインターネットとAIを一つの選択肢にまとめているため、AI単独の利用率を示すものではありません。

この結果は、企業が相談窓口を設けるだけでは十分ではないことを示唆しています。「相談しても不利益を受けない」「相談内容が必要以上に共有されない」といった安心感や、気軽に利用できる心理的なハードルの低さまで含めて設計する必要があるでしょう。

今回の調査では、18歳~29歳の若手社会人828名のうち、「配属ガチャ」という言葉を知っている人は46.6%でした。一方、自分自身や勤務先、知人のいずれかで実例がある人は39.3%に上っています。

また、「配属ガチャに外れた」と感じる要因の1位は「業務内容」30.0%、2位は「上司」25.8%、3位は「勤務時間」22.0%でした。「部署」は18.1%で6位です。

ここから見えてくるのは、若手社員が「希望した部署に行けたかどうか」だけで配属の当たり外れを判断しているわけではないということです。

彼らが見ているのは、配属後に「どんな仕事をするのか」「誰と働くのか」「どんな時間・場所・方法で働くのか」「その経験が今後のキャリアにつながるのか」という、実際の就業環境です。

そして外れたときの行動では、「仕事でやれるだけのことはやってみる」が25.1%で最多となる一方、「転職活動を始める」も24.0%とほぼ並びました。

ここには、「配属が気に入らなければすぐ辞める若者」という一面的な姿とは違う若手社員像が見えます。

多くの人は、まず努力したり、情報を集めたり、資格を取ったりして、自分の側から状況を良くしようとしています。ただし、それでも環境を変えられないと感じた場合には、社内で我慢し続けるのではなく、転職によって自分の働く場所を選び直すことも現実的な選択肢として考えています。

言い換えれば、若手社員が配属ガチャに対して抱いている不安の本質は、「希望通りの配属にならないこと」だけではないのかもしれません。

より大きな問題は、自分では決められない配属によって仕事やキャリアが大きく左右され、しかも一度外れたら自分では修正できないのではないかという不安です。

企業側が配属ガチャへの対策を考えるなら、配属理由を丁寧に説明すること、配属後にキャリア面談を行うこと、直属上司以外にも相談できる仕組みをつくること、一定期間後に異動を希望できること、そして実際にキャリアを修正できた事例を社員へ見せることが重要です。

「どこに配属されるか」は完全には選べなくても、「配属された後のキャリアは変えられる」。

社員がそう感じられる企業であれば、同じ人員配置であっても「ガチャに外れた」という受け止め方は弱まるはずです。



配属ガチャの問題は、若手社員のわがままや忍耐力の問題として片づけるべきではありません。人員配置の納得感、上司のマネジメント、社内異動のしやすさ、相談先への信頼、キャリアの自己決定感など、組織開発・人材育成の複数の課題が重なったテーマです。配属後のミスマッチを完全になくすことは難しくても、「外れたら終わり」と感じさせない環境はつくれます。

若手社員の定着や育成を考えるうえでは、配属そのものだけでなく、配属後に本人がどのようにキャリアを再構築できるのかまで含めて、制度と運用を設計することが、これからますます重要になるのではないでしょうか。

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