株式会社アッシュ・マネジメント・コンサルティング

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仕事が楽しい人を増やす会Meeting to Increase People Who Enjoy Work

「本当に仕事を楽しくするには、本気の努力が必要だ」
「本当の仕事の楽しみを得るには、それ相応の苦しみがともなう」
これらの実体験話を、あらゆる業種・職種に従事する人たちから教えていただき、
その内容をレポートします。

このレポートを多くの人たちに読んでいただくことで、
その人たちがこれまで培ってきた仕事の楽しみを再発見していただき、
この気づきをきっかけとして、今まで以上に価値のある仕事に取り組んでいく。
このような好循環の流れを生みだす一助を担えたらという思いで、
これから楽しく仕事をする人を増やす会を運営し、取材レポートを作成していきます。

仕事が楽しい人 File.79

松澤一裕さん

職業:地域ボランティア

◆純粋な人との出会い

第79番目の仕事の楽しい人は、地域ボランティアの
松澤一裕さんです。

ボランティアという言葉は聞きなれていますが、松澤さんの活動の内容を理解する上で、
厚生労働省のホームページに掲載されている「ボランティア活動」に関する解説をもとに
おさらいしておきましょう。

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ボランティア活動は個人の自発的な意思に基づく自主的な活動であり、
活動者個人の自己実現への欲求や社会参加意欲が充足されるだけでなく、
社会においてはその活動の広がりによって、社会貢献、福祉活動等への関心が高まり、
様々な構成員がともに支え合い、交流する地域社会づくりが進むなど、
大きな意義を持っています。

※厚生労働省HP「ボランティア活動」より抜粋
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/volunteer/index.html

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個人の自発的な意思に基づく自主的な活動が、ボランティアの要諦なのでしょう。

松澤さんが、ボランティアを始めたのは、今から22年前、24歳の時。
母親が手伝いをしていた福祉施設の施設長の奥さんにお会いしたのがきっかけでした。
この奥さんを通じて、障がいのある方を支援するボランティア活動があるということを知りました。

ある日、「土日に行われる障がい者青年向けのリクレーション教室のボランティア募集」
という新聞広告を目にしました。

松澤さんは、
「へぇ~、新しくできるリクレーション教室のボランティアか~。
オープニングから関われるって面白そうだな」
と興味を持ち、すぐさま応募しました。

そこには、20代から30代のボランティア希望者が、8人ほど集まりました。
リクレーションに参加する障がい者青年の人数は20人ほどで、年齢は10代後半から20代前半。
ボランティアに従事するメンバーも、リクレーションに参加する青年も、
近い世代の人たちの集まりとなりました。

リクレーションの開催頻度は、月に1回。
リクレーションの内容は、料理や工作教室、クリスマス会、バスツアーというようなもの。
バスツアーでは、食品の工場見学やテーマパークに遊びに行きます。

松澤さんがこのボランティアをはじめたばかりの時は、青年との意思疎通がうまくいかずに、
どのように接していいかわかりませんでした。
それでもボランティア活動を続けていくと、松澤さんはじっくりと青年の話を聴き、
またゆったりとした気持ちで青年と話す心地よさを実感していきました。

このようにして相互理解が進んでいくと、
松澤さんは、教室に通ってくる青年たちに共通する特徴を見出しました。

それは、
「人の悪口をいわない」
「文句を言わない」
こと。

青年たちと過ごして松澤さんは「みんな純粋だなぁ」と心が洗われる思いになり、
このリクレーション教室に、だんだんと引き込まれていきました。

「青年たちは本当に素敵な人たちです。
続けてきたといっても、途中、仕事の関係で、何年も顔を出せなかった時もあるんですけど、
久しぶりに教室に行った時、青年たちも、青年のお母さんたちも、
『松澤さん、こんにちは~!』と思いっきりの笑顔で迎えてくれたんです。
壁がまったくないんですよね。」
と嬉しそうに話してくれました。

そして、
「自分に警戒心があると、青年もそれを察知して、同じような反応になる」
「自分の警戒心を取ることで、青年も安心して近づき話しかけてきてくれる」
というように、青年たちとの距離ができてしまう原因が、自分にあるということに気づきました。

松澤さんが、自身の心の壁を取り払うと、青年たちとの関係が深まり、
会話の途中で、「何を言っているか聞き取れないから、もう一度言って」
と、遠慮なく言うことができ、

話題があちこちに飛ぶ会話を、大きな声で電車の中でされても、
他の人の目が、まったく気にならなくなりました。

青年たちとつき合いだして20年がたった松澤さんに、
ボランティア活動を継続できている秘訣を尋ねてみました。

この答えは、以下の
◆障がいのある方が、普通に過ごせる社会や企業をつくりたい
の章に、まとめました。

◆松澤さんが大切にするキーワードは

【人のために】
共に働く仲間たちが、いかに楽に楽しく仕事ができるかを常に考えています。
楽にとは、より効率よく仕事を進める仕組みを作ること。
そのための工夫を重ねています。

◆松澤さんのパワー○○

【書く】
毎日、手帳に、一日の出来事を記録しています。
その日のエピソードや明日こうしようと思いついたことをメモります。

マイナスな表現は厳禁で、嫌なこともプラス言葉に置き換えて書きます。
一日分でも文章量が結構なボリュームになり読み返すのが大変なので、
その日のことをすぐに思い出せるように、本日の一文字として見出しも書き入れています。

一文字の事例としては、「青」「輝」「種」
この文字を見ると、この日の出来事が瞬時に蘇ります。

◆松澤さんのコツコツ

【低速ジューサーで絞った野菜ジュースを毎朝飲む】
数年前にすい臓がんで他界した友人に、
生前、健康を取り戻してもらいたいとの思いで勧めたのが、この野菜ジュース。

低速ジューサーは時間がかかるため調理が面倒なのですが、健康維持はもちろんのこととして、
友人を思い出す貴重なひと時として続けています。

◆障がいのある方が、普通に過ごせる社会や企業をつくりたい

松澤さんには、リクレーションに通ってくる青年の中に馬が合う人がいます。
その方との共通の趣味が、野球観戦。
彼とは、プロ野球の試合を年に数回、観に行っています。

松澤さんは、この青年を、
「自分と気の合う友だちなんですよ」
と言いながら、

「彼は、応援の時に、横浜ベイスターズのユニホームを着て、
広島カープの帽子をかぶってきたりするんですよね。
彼は、野球は好きだけど、特に肩入れするチームがないので、こうしているんです」
と、とても楽しそうに友だちの紹介を始めました。

そして、試合が始まると二人は選手名鑑を片手に、
打席に入るバッターやピッチャーのプロフィールについて、
ああでもない、こうでもないと話すのだそうです。

読売ジャイアンツの坂本勇人内野手を例にすると、
「あ、坂本だ。坂本は、青森の光星学院だったよね。誕生日は、1988年12月14日だから31歳だ」
というように、選手一人ひとりのプロフィールを確認しながら試合を観戦するのが、
二人にとっての極上の時間。
この野球好きの友だちは、選手の出身地や卒業校、そして、誕生日に、特に関心があるのだそうです。

また、手書きの年賀状を毎年送ってくれる友だちもいます。
ある年に届いた年賀状には、路線バスの絵が描かれていました。
このバスの描写がとても細かくて、その中でもボディーの広告に、松澤さんは目を奪われました。

そこには、ある病院が宣伝されていました。
あまりにも良くできていたので、松澤さんは、
この病院は実在するのかどうかを確かめたいとの好奇心がくすぐられ、
広告に描かれた電話番号をそのままダイヤルしました。

すると、
「はい、〇〇病院です」
と、絵に描かれていた病院につながり、松澤さんは慌てて、
「すみません。間違えました」
と、お詫びして電話を切るという一幕もありました。

一方、肝を冷やすような出来事も、過去にはあったそうです。

それは、バスツアーで発生。

お台場に行った際に、一人の青年がいなくなってしまいました。
ボランティアスタッフ全員で必死に探し回りましたがなかなか見つからず、
2時間以上経過した後に、まるで散歩しているような表情で、ぶらぶらとしている彼を発見。

みんな、大事に至らなくてよかったと安堵しつつ、
気を許して目を離すと大変なことになるとの反省にも結びつきました。

松澤さんは、ボランティアを続けていて、
障がいのある我が子のために力を注いでいる親御さんの姿から
とても大きな刺激を受けている、と言います。

松澤さんは、
「お母さんたちは自分たちが先立った後、子どもたちを支援してくれるこのような会を維持できるように、
との思いで集まり運営しているのだと思います。
いろんな人たちと我が子をつなげることで、自分がいなくなっても、
地域の人たちと一緒に生活していって欲しいと思っているのではないでしょうか」
と真剣な目で、私に語り出しました。

そして、
「ボランティア活動はどこにでもあります。
街の清掃活動、地域のイベントお手伝い、子どもの学校役員。
それらを通して得ることは必ずあります。

あれこれ考えず、まずは応募してやってみて欲しいです。
このような気づきを与えてくれるボランティアを続けていきながら、
障がいのある方々が、地域で一緒に過ごせるには何ができるかを考えていきたいです。」
と、松澤さんは、力強い口調で締めくくりました。

◆松澤さんのプロフィール

職業:地域ボランティア

◆ボランティアとは?

(厚生労働省HP「ボランティア活動」より抜粋しました)

ボランティア活動は個人の自発的な意思に基づく自主的な活動であり、
活動者個人の自己実現への欲求や社会参加意欲が充足されるだけでなく、
社会においてはその活動の広がりによって、社会貢献、福祉活動等への関心が高まり、
様々な構成員がともに支え合い、交流する地域社会づくりが進むなど、大きな意義を持っています。

◆ボランティアに求められる能力

利他の心:人のために尽くすことが、自分にとっての生きる意義だと思う気持ち
自然体:偏見を持たず、変な気もつかわず、誰とでも同じように接する姿勢
継続力: 石の上にも三年を体現する力(松澤さんは、20年)
感受性:ある事象に触れた時に、その事の本質を感じ取る力
ユーモア:肩の力を抜いて、人と接する力

仕事が楽しい人 Back Number

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