#6
【Something4】
皆さんは、“Something4”という言葉をご存知だろうか。結婚式当日に、花嫁が身につけた方が良い4つの物、―すなわち、Something New(何か新しいもの)、Something Old(何か古いもの)、Something Blue(何か青いもの)、Something Borrow (何か借りたもの)―を意味しています。
この“Something4”をモチーフに、今月から私は“Something H [aʃ]”(=Hから始る言葉に因んだエピソード)をテーマにコラムを書かせていただくこととする。このコラムを通じて、当社の社名であるH [aʃ]という言葉に込めた想いを少しでも多くの皆さんにご理解いただければありがたい。
スタートとなる今回は、“Health(心身の健康)”。毎年、当社では、グローバルに活躍できる人材の育成と人格の形成を目的として、一週間程度の海外研修を実施している。前期は、経済成長著しいインドへ行き、BRICsを肌で感じきた。今年は、歴史教育とワークライフバランスのモデルとして、その舞台をドイツにすることとした。(実は、この原稿はベルリンからフランクフルトへ移動する列車の中で書いている)
私自身、ヨーロッパは、初めてなので、今回見聞したものだけで断定的に語ることはできないのだが、ここまで3日、ドイツで過ごして感じたのは、「ヨーロッパは人間が生きがいを感じやすい空間である」ということである。人間の本来持っている欲求にしたがって、人間らしく生きる、そんな当たり前のことを感じさせてくれるモノやシーンが至るところにあるのだ。家族と過ごす時間や労務環境を考えて土日を休みにするお店、週末に夫婦や家族で見に行くオペラ(決して、有名俳優が出演するものではない)、車が、ゆうに2台はすれ違える歩道(隣を走る車道は片側一車線)、人間の過ごしやすさを第一に考えた建物や街並み等、見ていて自然と微笑んでしまうような光景に数多く出くわしました。見るからに彼らは、心も体も健康~Health~であるように見える。もちろん、同じドイツでも旧東側では、失業者が多く、ネオナチ復活の危険もあり、綺麗な部分を見ただけで断言することはできない。そんなマイナスを織り込んでも、やはり彼らはHealthyだ。
これまで、日本は、効率重視のアメリカ型資本主義を追求してきたわけだが、今後もこのトレンドを追いかけて、今回、ドイツで感じたようなエレガントな心身の健康を手に入れることができるのだろうか。決めつけは良くないが、一部の勝者のみに富と権力が集中してしまうシステムでは、難しいだろう。新たな富を生み出すパワーが限界に近づいているとしたら、とりあえずは、今ある冨をシェアするしかないだろう。とすると、上位数パーセントの富裕層が、レバレッジで益々富むことを良しとするのではなく、幸せ追求を“ほどほど・そこそこ”にして、なるべくたくさんの人が幸せになれるように気を配ることが重要なのではないだろうか。
それにしても刺激多き、ドイツの旅である。