#67
Hanzawa Naoki ~半沢直樹~
誰が何と言おうが、私はテレビっ子です。
特に、月9黄金時代が高校、大学時期と重なっていたため、
いまだにドラマが好きです。
妻との唯一の共通の趣味(!?)と言ってもいいかもしれません。
さすがに月9を見てTVの中の恋愛ストーリーに憧れることはなくなりましたが、
『古畑任三郎』や『ガリレオ』のようにクライマックスでそれまでの伏線が繋がる推理モノや
NHKで放送された『ハゲタカ』や『七つの会議』のようなビジネスモノには目がありません。
そんな私が今はまっているのが、
皆さんもご存知、TBSで日曜日夜9時に放送中の『半沢直樹』。
「やられたら倍返しだ!」の痛快なキメ台詞とともに
第4話(8月4日放送)の視聴率は、驚異の27.6%!!!
このコラムが配信される時点では、
第5話で支店長への10倍返しが成功しているのでしょうね。
『半沢直樹』は、第4話まで平均視聴率が22.93%で
うち3回が20%超え。唯一20%を切った初回も19.4%と
若い世代を中心にテレビ離れ進み、15%を超えれば“御の字”という世界で
ケタ違いの実績です。
ちなみに、1クール前のドラマのNo.1は福山雅治主演の『ガリレオ2』。
平均視聴率は19.85%、20%超えは全11話中、5回、最高視聴率は初回の22.6%でした。
『ガリレオ2』は続編モノなので、
すでに固定客もついており、ある程度の数字は見込めたでしょうが、
『半沢直樹』はまったくの新参者。
実際、どのような数字になるのかは、関係者も「蓋を開けるまでわからない」
と言うのが正直なところだったと思います。
今回は、なぜ『半沢直樹』がこれほどまでにウケているのか、
私なりの考察をしてみたいと思います。
ちなみに私は原作となっている池井戸潤氏の小説を読んでいません。
以下、思いつくままに『半沢直樹』高視聴率のポイントを書き綴ります。
ターゲットは、主人公半沢直樹と同世代の30代後半から40代前半のビジネスマン。
(もともと日曜夜9時は在宅率が高い。30~40代の男性も楽しめる番組の制作が
高視聴率のカギかもしれません)
そして、アラフォー世代はもともとテレビ好き&ドラマ好きが他の世代よりも多い
主要な視聴者が、主人公半沢直樹と年齢や会社での立場が近いため、感情移入しやすい
昔から日本人が好む勧善懲悪のストーリー
今回の悪は、巨悪。正直、普通ならどうすることもできない巨大権力に一介のビジネスマンが
どう挑み、どうやっつけるのかに興味津々
ビジネスがテーマではあるが、銀行という庶民でも身近に感じられる場所が舞台
社宅での奥さんたちのつき合いや職場での上司からの嫌がらせ等、そんなに酷くはないだろう
と思いつつも、エリートやプチセレブたちの日常がそうだったら滑稽だなと思わせるシーンが多い
「調子のいいことばかり書いてんじゃねぇぞ、書記!」「弁明もできないのか、情けないな、
灰田!」等の半沢直樹の反撃が、暑気払いのようにスカッとする。
バブル以降、企業に延った成果至上主義、リストラ、コンプライアンス強化等、リアルな働く
現場とそれが行き過ぎた時の好ましくない結果が表現されていて共感性が高い
多くのサラリーマンは、そのようなリアルな問題に対抗するすべを持っていないが、ドラマを
見る中で、半沢直樹の立ち振る舞いを見ながら、自分だったらどうするかを予想している
予習している
上戸彩演じる半沢直樹の妻が、よく出来た妻で、「お前もああしてくれるといいだけどね」
的な会話がしやすい(=これは我が家限定かもしれません:笑)
高視聴率の理由を考えていたら、以前放送していたあるドラマが浮かんできました。
2008年にSMAPの木村拓哉さんが総理大臣役を演じた『CHANGE』というドラマです。
気になって調べてみた『CHANGE』の視聴率は、以下の通りでした。
初回 23.8%
第2話 23.0%
第3話 22.4%
第4話 19.3%
第5話 19.5%
第6話 19.1%
第7話 20.9%
第8話 19.5%
第9話 22.3%
第10話 27.4%
平均 22.08%
安定した高視聴率と最終回の27%超えで、
政治をテーマにしたドラマは視聴率が取れないという定説を見事に覆しました。
『CHANGE』も寺尾聡さん演じる悪徳官房長官に、
キムタクこと朝倉総理が正攻法で挑み、
見事に勝利する巨悪対決型の勧善懲悪ストーリーでした。
半沢直樹の胸の空くような反撃シーンも嫌いではありませんが、
最終回で見せた20分以上の長い台詞を代表に、
リーダーが発する言葉の力がクローズアップされた番組でした。
こう考えると、30~40代の男性サラリーマン層から
支持される番組を作るためには、どんな点に注意すればいいのかが見えてくるように気がします。
■政治や経済という難しい話をドラマで分かりやすく理解できる
■正義感溢れるリーダーが、巨悪と対決する勧善懲悪ストーリー
■リーダーには確固たる信念と言葉の力
■恋愛は控えめ
■主人公には同世代を起用
→昭和47年生まれの木村さんは、『CHANGE』に出演当時36歳。
半沢直樹役の堺雅人さんは、昭和48年生まれ、今年40歳だそうです。
私が、最初、このドラマに強く共感したのは、
挨拶がしっかりできて、重要な工程は職人の手作業に拘る町工場に
3000万の融資を約束するシーンや
電話に出ない事務員、覇気のない社員ばかりの西大阪スチールを見て、
融資をすべきでないと進言するシーンでした。
人事・組織開発コンサルタントとして、
常々訴えてきた働きがいを感じられる幸せな会社を見極めるポイントが
正しく表現されていたからに他なりません。
妻にも、
「コイツは会社の見方が分かっている。結局、大事なのはこういうことなんだよ」
と上から目線に力説していました(笑)
わかりやすい予言をすると、
きっと『半沢直樹』は続編ができます。
島耕作のように続編が放送される度に出世していくかもしれません。
最終回終了と同時に『映画化決定!』のニュースが流れ、
『倍返し』は流行語大賞にノミネートされます。
(一応、「~と思います」を使わず、すべて断言してみました)
そして、職場には、
自分の中の偏った正義を拠り所に、なかなか謝罪せず、
「倍返し」を連呼する“なんちゃって半沢直樹”が増殖するかも…。
本物の半沢直樹は間違っても労基署に駆け込むようなことはしないと思いますが、
“なんちゃって半沢直樹”を倍返しでギャフンと言わせようものなら、
パワハラで訴えられそうですね(苦笑)
なんて勝手な妄想をしながら、残りの『半沢直樹』を存分に楽しみたいと思います。
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東日本大震災の被害状況(警視庁・復興庁調べ)
死者:15,883人/行方不明者:2,667人 2013年7月10日現在