#14
【Hotshot】
3月に入り、第3期も残すところあと一ヶ月となりました。3月が決算の企業では、最後の追い込みに突入していることだと思います。今期は昨年秋の世界金融危機に端を発した経済危機の影響もあって、気合だけで乗り切れるような生易しい経営環境ではありませんが、それはどの企業にとっても同じことです。1年の最後の月を納得いく形で締めくくれるように、お互いに全力を尽くしましょう。
今回のSomething H のテーマは、【Hotshot】をテーマに書きます。【Hotshot】とは俗語で「自称やり手」のことを言います。1991年にチャーリー・シーンが主演したパロディ映画のタイトルにもなったのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
なぜ、今回この言葉を選んだのかと言うと、我々が生業としているコンサルタントという仕事は、相当に意識をし続けなければ気がつかないうちに誰もが【Hotshot】になってしまう可能性があると強烈に感じる場面に遭遇したからです。
私が担当させていただいている企業でも、当然ながら私以外のコンサルタントとお付き合いをしています。そういう方々と一緒にプロジェクトを進めることもあるのですが、その際に、この【Hotshot】達はびっくりするような仕事してくれます。ある【Hotshot】は、「私もたくさん経験していますから次回は御社にあった人事評価の事例をいくつか提示させていただきますよ」と豪語したにも関わらず、優秀企業の評価制度百選のような書籍のコピーを平然と配布してくれました。また、別の【Hotshot】は、クライアントからクレームを受け、その会社用にカスタマイズしたセミナーレジュメの提出を求められたにも関わらず、過去にやったセミナーレジュメを数種類、参考資料として提示してきました。
私は同じコンサルタントとして、非常に恥ずかしく感じるとともに、それぞれのクライアントの財務状況を慮り、その【Hotshot】達が受け取っているフィーのことを考えると腹が立って仕方がありませんでした。彼らを反面教師とするのはもちろんですが、彼らによってコンサルタントという仕事が失笑や侮蔑の対象になることが許せません。自分の部下がそんないい加減な仕事をしたら怒鳴りつけているでしょう。
コンサルティング・サービスというものは、大前提として「知っている者」と「知らない者」が存在しなければ成り立ちません。この情報の非対称性を利用し、「知っている者」から「知らない者」へ情報が伝達されることそのものが付加価値になっているわけです。知っている者が、間違った情報を伝えても知らない者が気づくことができる可能性は、高くありません。仮に、何となく言っていることが「おかしいな」と感じても相手に気をつかって指摘しない、反駁を恐れて指摘できないのが通常だと思います。
だからこそ、我々コンサルタントは、クソがつくほど真面目に、バカがつくほど正直に、仕事をしなければならないのだと思います。当社の行動指針にも「誠実」の2文字が刻まれています。当社では、誠実は「真実を見つめる時に湧き上がる感情に嘘をつかないこと」と定義しています。今期の締めくくりに、今一度、この言葉の意味を噛み締めながら本当に誠実な仕事をしていきたいと考える今日この頃です。