#50
【Hansei -反省-】
3月10日から11日に日付が変わろうとする頃、
入浴を済ませた妻が、リビングでくつろいでいた私に向かって声を掛けた。
「トイレが水浸しなんだけど・・・」
そろそろ寝ようかと思っていた私は、
それから夫婦二人で、深夜、我が家に起こった
原因不明の水難事故の対応に追われることになった。
溢れ出た水を拭き取りながら、現場を調べてみると、
原因はウォシュレットの誤作動ではないかと仮説が立った。
その時、私は
「震災直後のように、ウォシュレットのコンセントを使い終える度に抜いていたら
こんなことにはならなかったのに・・・」
と思いました。
そして、その考えは、直ぐに
「そう言えば、一年前は、ウォシュレットのコンセントを使い終える度に
抜いていたんだよな・・・。いつから抜かなくなってしまったんだろう。」
という反省へと変わりました。
あの忌まわしい東日本大震災から、昨日でちょうど一年が経ちました。
多少の不便はあるものの、
東京で暮らす私たちの生活は、震災前と変わらない水準へと戻りました。
もっとも心配された電力の問題も、
夏、冬の需要期を大きなトラブルを起こすことなく、乗り切ったことで、
「今のまま(=原発の稼動が現状のまま)でも大丈夫なんじゃないか」という
漠然とした安堵に変わりつつあるようだ。
今朝、3月12日の朝、
久しぶりに東京電力の電気予報を見ると、
電力使用の見通しは、ピーク時供給力の90%。
相変わらず「厳しい」だった。
1年前と状況は、何も変わっていない。
しかし、私は元に戻ったのではないかという錯覚に陥り、
震災直後に取っていた節電アクションは見る影もなくなっていた。
きっとウォシュレット以外にも消えてしまった節電アクションはあるのだろう。
そう思って、電気代が引き落とされている銀行口座の通帳を確認してみた。
震災前から可能な限り、支払っている電気料金を拾い上げてみて驚く。
昨年11月までは、震災後の電気代の方が安いのだが、
12月から今年2月までは、震災後の電気代の方が高くなっていた。
2月に至っては、4466円、前年比34.8%増でした。
大反省です …… ( 〃..)ノ
これはもう最悪。
私の中で、東日本大震災の記憶の風化している証左です。
3月11日の日経新聞の記事にこんな一文を見つけました。
― 福島の人と話すと『何もしなくていいから、忘れないで』と言う。 ―
「何もしなくていいから、忘れないで」 とても重たい言葉です。
いくら募金したとか、何回ボランティアへ行ったとか、
そういうことも大事だけれども、
被災地から遠く離れた土地で暮らす私たちには、
忘れていないよという姿勢を示し続けること大切なんだと思います。
私たちアッシュ・マネジメント・コンサルティングからの発信も、
みなさんの、そして何より私たちの「忘れていないよ」を示すものでありたい、
そんな想いを強く持って、続けていきたいと思います。
東日本大震災の被害状況(3月1日現在/警視庁調べ)
死者:15,854人/行方不明者:3,155人/避難者:343,935人