#58
【HITOMUKASHI ~一昔~】
BRICsという言葉は、かなり有名になり、
ビジネスの世界に身を置いている方であれば、ほとんどの方が答えられるでしょう。
ブラジル(Brazil)、ロシア(Russia)、インド(India)、中国(China)という
経済発展が著しい4つの国の頭文字からなる造語です。
ゴールドマン・サックスのエコノミストが、
2001年投資家向けに書いたレポートの中で初めて用いられ、以後、すっかり定着しました。
何気なく使っていましたが、この言葉にも十年の歴史があるんですね。
最近では、ここに南アフリカを加えて「s」ではなく「S」と表記する
BRICSが正式名称になったという話もあります。
みなさんは、仕事をしていて、もしくは日常生活を送っていて、
BRICsの台頭を感じたことがあるでしょうか?
確かに、銀座あたりをブラブラしていると、中国人観光客が目につくようになりましたね。
飲食店や小売店のレジの横で銀聯カードのステッカーを見かけたり、
家電量販店で中国メーカーである<Haier>の製品を見かけるようにもなりました。
それでも、何だかんだ言って「日本は負けていない」と思ってはいませんでしたか?
実は、私もそう思っていました。
家族旅行でここサイパンに来るまでは…。
11月8日(木)の夜からお休みをいただき、
12日(月)までの予定でサイパンに旅行に来ました。
(このコラムは、ホテルのベランダで書いています)
サイパンは今回で3回目。
1回目は、結婚して初めてだから1998年の夏休み、妻と二人で。
2回目は、長男が1歳、2002年の夏休み、初めての家族での海外旅行として。
そして、今回2012年です。
今回、十年ぶりにサイパンを訪れ、数々の衝撃を受けました。
(多分、もっと早く受けなきゃいけない衝撃だったのかも知れません…)
過去、2回、私たちはホテル・日航サイパンに宿泊しました。
理由は、日系企業の経営であるという安心感からです。
当時、利用した飛行機はJALのRiso’chaでした。
カラフルな機体と機内サービスで出してくれるトロピカルドリンクが、
ウキウキ感を掻きたててくれたのを覚えています。
しかし、ご存知の通り、JALは経営不振から
ホテルの経営から手を引き、Riso’chaも廃線。
サイパンにJALの姿は見る影もありません。
ホテルのあった場所へも行ってみましたが、いわゆる廃墟。
タクシーの運転手が「ここはサイパンでNo.1のホテルだったのに…」と悲しそうに話していたのが印象的でした。
日航ホテルだけでなく、日本経済の凋落の影響をサイパンはもろに受けています。
日本人観光客を相手にしていたマッサージ店やカラオケ店は土日でも閑古鳥が鳴いています。
マッサージ店やカラオケ店だけでなく、
一番の繁華街と言われているガラパンがゴーストタウンのようでした。
オープンしている店は少なく、空き店舗の窓には「FOR RENT」の貼り紙が目立ちます。
ヒストリカル・ツアーでお世話になったガイドさんの話だと、
仕事がないせいで若者の島外流出が激しく、
サイパンの人口は全盛期の3分の1、4万人程度にまで減ってしまったそうです。
日本の地方都市と変わりません。
仕事柄、地方都市を訪れることの多い私の感覚では、
サイパンの方が酷いように感じます。
そして、日本人に変わって、この島に入ってきたのが、
中国人、韓国人、ロシア人です。
今回、私たちが宿泊したWorld Resortは韓国系資本のホテルです。
朝食のバイキングでは、キムチが山盛り!
数年前まで日系だった第一ホテルは
FIESTAと名前を変え、経営は中国系に移りました。
私たちが、好んで日航ホテルに泊まったように、
中国人や韓国人は、自国資本のホテルに泊まります。
だから、私たちの周りは韓国人ばかり。
娘が行く前に「竹島のことでいじめられないかな?」と心配していましたが、
それはなさそうです(笑)
DFSの一角にあるハードロック・カフェでは、
ショーに出演したエンターテイナーが、
“Thank you!”“アリガト”に続けて、
“シェイシェイ”“カムサハムニダ”“スパシーバ”と叫んでいました。
もちろん十年前にはなかった演出です。
海がキレイで有名なマニャガハ島へ行く船は、
中国人60%、韓国人20%、日本人とロシア人が10%ずつ。
船内のアナウンスも中国語が先です。
昨晩、ハイアットで観たマジック&ディナーショーでも
中国語、韓国語、日本語、ロシア語で「ショーの間は撮影禁止」という文字が
投影されていました。
最初に注意しないと中国人はバシバシ写真を撮るでしょうね(笑)
日本人に変わって、中国人、韓国人、ロシア人が入ってきたのだから、
島の経済は何とかなりそうなものですが、彼らは、まだ来るのが精一杯で、
たくさんのお土産や高いブランド品を買う程の経済力は、持ち合わせいないようです。
実際、ホテルでビュッフェスタイルの朝食をとっていると
持参したペットボトルに水を入れていく人、
テイクアウト用の容器をもらって、お昼御飯用に料理やパンを詰めていく人が
たくさんいます。
十年一昔 ~Hitomukashi~ と言いますが、
まさに今回、十年ぶりに訪れたサイパンは、
十年前の光景が色褪せてしまうほど、変貌していました。
十年前、すでにバブルは弾けていたし、中国の景気も良くなっていたけれども、
サイパンで日本人が少数派になるなんて想像もできませんでした。
確実に、世界は動いています。
ただ、知らないうちに、その大きなうねりの中で、
私たちは傍観者になってしまう。
大きな時代の流れに抗うことはできないのかもしれないけれど
傍観者にはなりたくないと強く思いました。
コラムを書き終えたら、ちょうど海に虹がかかりました!
この虹のように、人と人、国と国、文化と文化をつなぐ架け橋になれるといいですね。
そういう意味で、子どもたちはスゴイです。
ホテルのちびっ子プールでは、
韓国、中国、ロシア、日本、ミクロネシア、肌の色も言葉も異なるけれど、
自然と一緒に遊んでいます(笑)
Saipan World Resortのテラスにて。
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東日本大震災の被害状況(警視庁・復興庁調べ)
死者:15,873人/行方不明者:2,768人 11月7日現在
避難者・転居者:324,858人(避難者:16,418人/転居者:308,440人) 11月7日現在