#129
HHOKでは済まされない
2018年もあと僅か。
来年は私も50歳になります。
10代、20代の頃は、自分が50歳になる姿なんて想像もできなかったけれど
今は、想像する必要もないくらい“すぐそこにある現実”。
同い年の有名人は、
男性だと福山雅治、桜井和寿、橋下徹、HIRO、
女性では石田ゆり子、森高千里、有働由美子あたりが
今も第一線で活躍している。
*福山雅治と有働由美子は早生まれなので厳密には一学年上。
今年最後のコラムはそんな同い年の芸能人に対するネット記事から感じたことを書こうと思う。
◆
その芸能人の名前は、中山美穂。
押しも押されぬ同世代のトップアイドル。
結婚後は、家族とパリで生活していたが、
プライベートでいろいろあって2年くらい前から日本でのタレント活動を再開している。
この秋、そんな彼女がドラマに出演した。
正直、ドラマとしては、ストーリーが浮世離れし過ぎていたことと
ツッコミどころ満載の設定で、視聴率もパッとしなかったのだが
それは本題ではないので、ここでは割愛する。
◆
問題は、ドラマに出ている彼女を評したネットの記事。
例えば、ドラマの序盤に掲載されたコレ↓↓↓
①佐々木蔵之介の主演ドラマ「黄昏流星群」が低調 原因の一つは中山美穂の劣化か
https://news.nifty.com/article/entame/showbizd/12136-110129/
この記事は、すでに「提供社の都合により、削除されました」となっているが、
概要は知ることができる。
そして、最終回放映後に出たコレ↓↓↓
➁最後は黒木瞳にも公開処刑された!? 「黄昏流星群」中山美穂の立場
https://asajo.jp/excerpt/64215
両方とも「なんだかなぁ」という感じ。
断っておくが、私は別に中山美穂のファンではない。
「遠い街のどこかで」や「You are my only shining star」をカラオケで唄う女性には
無条件で好印象を抱くもののファンではない。
◆
中山美穂の演技が上手いとは思わない。
その評価は「毎度お騒がせします」や「ビーバップ・ハイスクール」の頃から揺るぎない。
揺るぎないが、「劣化」って何だ、「劣化」って!!!
人間は必ず老いる。
40~50代からの人生は、受け入れたくない老いとの闘いでもある。
どれくらい「できていたことが出来なくなるのか」は自分が一番知っている、
それを外野が「劣化」と表現するのはどうなんだろうと思わずにはいられない。
劣化とは「使っている間に品質や性能が悪くなること」という意味であり、
本来は、モノを対象に使う言葉。
それをあえて人間に当てはめることで
舌鋒の鋭さ、論客としての強さを狙っているのだろうが、
私にはこの言葉を選択した人間の
「あざとさ」や「いやらしさ」「さもしさ」しか伝わってこない。
◆
「公開処刑」も同じ。
この記事の主旨は、中山美穂よりも実際の年齢で10歳上の黒木瞳が
(年齢の割には)若々しく、中山美穂よりも若く美しく見えるのではないかということと
ドラマの役柄で、中山美穂の夫役だった佐々木蔵之介が
最終的に中山美穂と離婚し、黒木瞳と一緒になることを掛け合わせ、
見た目でも、ドラマでの役でも黒木瞳に負けた! という事実を
「公開処刑」という見たくもない刺激の強い言葉で表現している。
読者の誰一人として、本当の公開処刑を想像する人はいない、
そんなことはデジタル・ネイティブでない私でも分かっている。
しかし、この胸のモヤモヤは何だろう。
やっぱり、ライターやサイト運営者の「あざとさ」や「いやらしさ」「さもしさ」を
感じずにはいられないのだ。
◆
そんなことを書いた本人もよくわかっているようで、
二番目の記事は、文の最後をこのように締めくくっていた。
『黒木58歳に負けた中山48歳』
『中山が5歳年上の八木亜希子にも10歳年上の黒木にも公開処刑されたドラマだった』
といった声があがっているようですから、
これを機に奮起したほうがいいかもしれません」(女性誌記者)
この結びの文章に、俄然、私のCP(=厳格さを司る自我)が燃え上がる。
まず、公開処刑は自分が言っているのではなく、
ネットの中でドラマを見た視聴者が使っている言葉であるという逃げ。
そして、最後のクレジットを自分の名前ではなく、「女性記者」としているごまかし。
この記者は、
ひょっとする中山美穂が大復活したら、
何食わぬ顔をして高評価する記事を書くんじゃないだろうか。
いや、絶対書く。
その時、HHOK(=Ha Ha Only Kidding/はは、冗談だよ)で済ませるのだろうか。
いや、いや、そんな軽い話で済ませてはいけない。
*HHOKはネットで使うスラング
◆
2ちゃんねるが流行った頃、
匿名の投稿に対する批判的な意見も多く見られたが、
民意を知る上では、大いに役立ったと感じている。
しかし、匿名投稿という文化は、
悪意ある語彙選択の温床になっていることも事実であろう。
「劣化」や「公開処刑」と言った言葉を使わなければ、真意が伝わらないのであれば、
熟慮の結果として使用することは認めよう。
ただし、その場合は真意を伝えるという使命に準じたものでなければならない。
◆
科学や技術の進歩は、
私たちのくらしを格段に便利にする。
一方で、開発者の想像しなかった悲劇も生む。
ダイナマイトが戦争で使われ、人の命が奪われるなどとは
ノーベルは微塵も思わなかっただろう。
インターネットが我々のくらしの中に定着して20余年。
そろそろ私たちも、自分のココロの中に潜む
「あざとさ」や「いやらしさ」「さもしさ」を真摯に見つめ、
行動を選択するタイミングではないだろうか。
そんなことを考える2018年の師走です。
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