#133
Humanity ~職業人としての在り方~
日頃、政治になど一切関心を示さない長男がニュース番組を見て言い放った一言。
「俺も大した大人になれるとは思っていないけど、この人よりも真面な大人になる自信はある」
“なんのこっちゃ”と思って、起こした視線。
テレビには、辞任会見に臨んだ桜田義孝前五輪担当相が映っていました。
どこにでもいるような普通の高校生に
「この人より真面な大人になる自信がある」と言わしめた政治家は
ある意味で「超」がつく稀有な存在でしょう。
本来、大臣の発言は、大臣個人のモノであって
総理大臣に任命責任を問うたところで、形式的に謝罪するのが関の山だが、
他の失言で、十分に予兆を感じることができた今回の件ばかりは、
任命責任(というよりも辞めさせなかった責任)を問われても仕方がないと思う。
記者のぶら下がり取材に対応する安倍首相の顔も本当に苦しそうでした。
◆
今回の件は、私にあらためて「仕事はあり方が大切」ということを思い出させてくれました。
(こんな酷い事例じゃなくても、十分に思い出せるけど・・・)
話は変わりますが、1月~3月期のドラマでは、
『QUEEN』(フジ)
『イノセンス』(日テレ)
『グッドワイフ』(TBS)
と弁護士が主人公の作品が目立っていました。
この3作品に限らず、志ある弁護士が難事件に挑み、
最後に勝利を勝ち取るドラマは見ていて気持ちがいいものです。
弁護士が主人公のドラマに欠かせないのが、事実をでっち上げようとする検事や刑事。
彼らの存在が、弁護士の正義感や覚悟を際立たせます。
◆
では、検察や警察という存在が悪なのかと言えば、決してそんなことはありません。
木村拓哉さんが主人を演じた大ヒットドラマ『HERO』では
真実に辿り着くためには、地べたを這いつくばることも厭わない
検事や検察事務官の姿が本当にカッコよく描かれていました。
余談ですが、私は今の会社を作る時、『HERO』に登場する城西支部のように、
個々が自分の仕事をこなしながらも、
いざという時には協力できるチームを作りたいと本気で思いました。
いつかオフィスを拡張する時には、
各人の執務スペースと共有スペースに大きなテーブルがある
城西支部のようなレイアウトにしようと心に決めています。
『HERO』で欠かせなかったのは、
事実を捻じ曲げて被告の罪を軽くしようと試みたり、
多額の報酬や名声、利権に目がくらんで
悪徳政治家や腹黒経営者の味方になる弁護士の存在。
木村拓哉さん演じる検事・久留生公平は
彼らをギャフンと言わせる正に『HERO』です。
◆
弁護士だからカッコいいわけではなく、検事だからスゴイわけでもない。
在り方の素晴らしい人は、弁護士でも、検事でもカッコいいし、
在り方の残念な人は、弁護士でも、検事でも醜い。
これは職業に対する品格の問題でもあると思う。
奇しくも、平成最後の東大の入学式で上野千鶴子さんが述べた祝辞が注目を浴びています。
あなたたちのがんばりを、どうぞ自分が勝ち抜くためだけに使わないでください。
恵まれた環境と恵まれた能力とを、恵まれない人々を貶めるためにではなく、
そういう人々を助けるために使ってください。
この祝辞には賛否があるようですが、この言葉はしっかり心に刻みたい。
私に恵まれた能力が備わっているかは怪しいが、多少の知識やスキル、人的資産は持っています。
でも、それは私がゼロから築き上げたものではなく、
先人たちの努力や奮闘の末に得た果実のお裾分けをいただいたに過ぎません。
だから、それらを自分の幸せのためだけに使うのではなく、
他の誰かが幸せになるためにも使っていきたいと思う。
そして、在り方のカッコいい弁護士と在り方のカッコいい検事が相まみえる法廷のような
在り方のカッコいい職業人で溢れる社会をつくる一助になりたい、そう思う平成最後の春です。
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