#153
ヒノカミ -Hinokami-
今年は、最後のコラムを書かぬまま、
年末年始休暇に突入してしまいました。
12月のタスクを年が明けてから実施するのは、
性格的にも気持ちが悪いと感じるタイプなので、
自宅の大掃除を終え、パソコンに向かっています。
現在、2020年12月31日14時51分。
このコラムが掲載されるのは、年明けになると思いますが、
何とか年内に書き上げて、スッキリ正月を迎えたいと思います。
◆
タイトルを見て「ピン!」と来た方は、
2020年、ステイホームの中でも、それなりに流行を追った方だと思います。
これは2020年空前のヒットを飛ばしたマンガ、『鬼滅の刃』全26話の中で、
神回と評価されている19話のタイトルです。
アッシュのエンタメ担当としては、
『鬼滅の刃』についても、いつかコラムで取り上げたいと思っていたのですが、
鬼滅の刃(KIMETSUNOYAIBA)にはどこにも「H」がなく、
主人公の竈門炭治郎(KAMADOTANJIRO)に「H」を求めても、
水の呼吸ではじき返される始末でした。
どうしたものかと思案の結果、閃いたのが神回のタイトル「ヒノカミ」というオチです。
余談ですが、私は2020年の漢字は「鬼」になると予想していました。
鬼滅に加え、ステイホームで家にいることが多くなったご主人に対して
鬼になった奥さんが増えたのではないかと思ったからです。
しかし、実際には、絆が深まったご夫婦、ご家庭が多かったようです(笑)
話を『鬼滅の刃』に戻しましょう。
◆
『鬼滅の刃』が流行っていたことは知っていましたが、
マンガも、アニメも、まったく見ていませんでした。
そんな私が鬼滅の刃を見ることになったキッカケは、
ご支援先である船橋屋でおこなわれた11月の内定式、渡辺社長の一言でした。
「小川さん、『鬼滅の刃』見ました?
『鬼滅の刃』に藤の花が鬼を寄せ付けない花として出てるんですよ。
藤の花と言えば、亀戸天神じゃないですか。コロナを鬼に見立てて、
何かうまくコラボできないかなと思ってるんですよね」
コロナ禍で集客に苦しむご支援先が増えています。
売上向上のアイデアを出すのは我々コンサルタントの使命でもあり、
少しでも役に立てるのであれば…
そんな気持ちが鬼滅イッキ見のスタートです。
◆
全26話を見て、私なりに鬼滅ヒットのポイントを分析しました。
1) 主人公、竈門炭治郎の「超」がつくほど真っ直ぐな心
鬼滅のウリは、炭治郎が語る「超」がつくほど真っ直ぐなメッセージと
他人を想う気持ち。
自分のことはお構いなしに、妹・禰豆子や仲間を思いやる炭治郎は、
利他の象徴とも言える存在。
「●●ファースト」が叫ばれ、
まずは自分たちの幸せを確実なものにしようとする時代に、
ここまで他人を思いやれる人間がいるのかと感心します。
「俺と禰豆子の絆は誰にも引き裂けない!!」なんて、
見ているこちらが恥ずかしくなるくらいのメッセージが飛び出します(笑)
2) 勝利して得るもののない戦い
鬼殺隊(=人間)と鬼の戦いは、圧倒的に人間が不利です。
鬼に勝利したとしても何か得るものがあるわけではなく、つかの間の平穏があるだけ。
すべての鬼を退治したとしても得られるのは、鬼がいなかった頃の普通の暮らし。
海賊王になれるわけでも、絶対王者山王を倒した称号を得られるわけでもありません。
得るものがないばかりか、人間はケガもするし、仲間を亡くすこともあります。
何となく、コロナに立ち向かう人間を彷彿とさせます。
3) 鬼になる前の可哀そうな人生と鬼になった後の利己的な立ち振る舞い
敵役の人生にスポットを当てるストーリー展開は、珍しくはありません。
ワンピースでも、スラムダンクでもおこなわれています。
違いは、鬼になってしまう前と後の大きな変化。
鬼になる前は皆人間で、病弱だったり、売れない物書きだったり、
同情したくなる可哀そうな人生を生きていました。
それが鬼になった途端に傍若無人ぶりを発揮し、人間を喰らいます。
鬼になった後の立ち振る舞いは利己の権化。
利他の象徴である炭治郎と利己の権化である鬼の構図が鬼滅の特徴。
狙ったわけではないと思いますが、トランプが仕切ったアメリカも、
中国も、韓国も、桜やモリカケでのらりくらりの安倍内閣も、
見方によっては利己の権化であり、
そこに立ち向かう炭治郎に希望の光を見たのかも知れません。
4) 物語全体に流れる儚さ、もの悲しさ
第1話から家族が鬼に惨殺される、生き残った妹は鬼になる、
敵役の鬼たちも元は人間で悲しい過去があり、心の隙を突かれて鬼にされてしまう、
人間は戦って得られるものはなく、失うものは数知れず、
そんな中で繰り出される炭治郎の純粋で、真っ直ぐで、
一歩間違えればカラ元気に取られかねない言動、
とにかくすべてが「儚い」「もの悲しい」と感じてしまうのです。
個人的には、もう少し明るい要素があってもいいのではないかと思うのですが、
恐らくそれだとここまでブレイクしなかったのでしょう。
◆
映画『鬼滅の刃』は、12月28日現在で324億円の興行収入となり、
日本の映画史上、No.1になりました。
少年誌に連載がスタートした当初からファンだった方だけでなく、
私のように流行に乗った方にも広く受け入れられた証左でしょう。
(私は、まだ映画は見ていないのでこの休み中に映画館に足を運ぼうと思っています)
鬼滅の刃フィーバーに触れて感じるのは、
少しでいいから炭治郎を目指してもらいたいということ。
コスプレでなく、炭治郎のメンタリティや言動を。
半沢直樹の時も同じですが、正義の味方の悪者退治を見て、スカッとした後は、
自分の身の回りにある「鬼(=問題)」を「退治(=解決)」するために
自分の足で初めの一歩を踏み出すことに“全集中”したいものです。
2020年も駄文にお付き合いいただき、ありがとうございました。
2021年も引き続き、よろしくお願いいたします。
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