#173
『トップガン・マーヴェリック』とノスタルジー・マーケティング
今年はヒット映画が多いですね。
現在、公開中の『ONE PIECE FILM RED』は
公開から20日で興行収入100億円、動員720万人を突破しました。
シリーズ最高だそうです。
そして、実写映画では『トップガン・マーヴェリック』
日本での興行収入は110億円ですが、
全世界では10億500万ドル(約1360億円)を稼いでいます。
ちなみに1986年に公開された前作の興行収入は、
日本で67億円、全世界で3億5700万ドルだったので
満を持して公開した今作が、いかにヒットしたのかがわかります。
遅ればせながら、私も7月に観ました。
今回は、『トップガン』のヒットを傍目に考えた
消費の原動力になるノスタルジーについて考えてみたいと思います。
◆
『トップガン』の前作が公開されたのは、前出の通り1986年。
テレビでのインタビュー映像、ネットでのレビューを見ると、
今作の『トップガン・マーヴェリック』に飛びついたのは、
初作公開当時に、10代後半~20代中盤だった年齢層です。
私も当時は高校2年生、映画館で3回ほど観ました。
彼らは、現在50代前半~60代前半。
人生の折り返し地点を過ぎ、第2の人生を考え始める年代。
この年代を消費へ向かわせる原動力は、
夢や目標以上に、ノスタルジーだと思うんですよね。
夢や目標が大切なことは否定しません。
でも、残された時間も、体力や気力も、目標達成へのモチベーションも
若かった時のようにあるわけじゃない。
経営者や芸能人など、一部の特異な人種を除いては、
出そうと思っても、なかなか出てこない。
それに対して、ノスタルジーは、
古き良き時代を懐かしみ、思いを馳せ、恋しさを感じる心のパワー。
そして、多くの人が内に秘めています。
「あの時、君は若かった~♪」という某グループ・サウンズの歌がありましたが、
私も劇場が暗転し、始まった瞬間から仕掛けられた前作とのマリアージュに、
一気に青春時代へタイムスリップしました。
◆
人間がどの時代にノスタルジーを感じるのかというと
10代後半~20代中盤、つまり青春時代なんじゃないかと思います。
1969年生まれの私なら、
1985年(16歳)~1994年(25歳)くらい。
YouTubeで90年代ドラマ主題歌なんて動画を発見すると
無意識にクリックしてしまいます。
ちなみに、
社会人になってからの勝負曲は、トップガンの『Danger zone』
大事な商談やここぞいうプレゼンの前は、必ず聴いてきました。
◆
B to Cのビジネスで
50代~60代をターゲットにマーケティングを仕掛ける時、
この世代の関心事に合わせ、
『健康』『資産形成』『老後』『セカンドライフ』などを
コンセプトに施策を考えますよね。
これは論理的思考としては、正解だと思います。
しかし、それだけでは足りないし、ありきたり。
“フツー”というレッドオーシャンを抜け出すことができません。
そこにノスタルジーのパワーを上手に活用できたら、
一味違うマーケティング施策を考え出すことができるのではないかと思います。
◆
余談ですが、就活生に
シニア・マーケティングについてディスカッションをしてもらうと
結構な確率で
「60代には演歌とか、時代劇とかを使うと効果的」という意見が出てきます。
20歳前後のお子さんのご両親は40代後半~50代が主流。
彼らにはリアルな60代がイメージできないんですね。
そんな時、
今の60代は、若い頃に、サザンとユーミンを聴き、
マックのハンバーガーを片手にポパイとJJを見てきたんだよ
と教えてあげるんです。
そして、
ユニクロが今流しているCMでサザンを使っているのは、
50代、60代の来店を促したい意図があるんじゃないかと思うんだよね
と伝えると、感心してくれます(笑)
皆さんも、マーケティングにノスタルジーを生かせないか、
考えてみてください。
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