#177
ウミガメのスープ
ワールドカップが終わりました。
(先月のコラムの書き出しは、「ワールドカップは開幕しました」でした)
決勝戦はフランスとアルゼンチン、強豪国同士の激闘でした。
今回の日本代表は、よくやったと思いますが、
あの決勝戦を見てしまうと、
日本があの舞台に立って、世界一に相応しいサッカーで
世界を驚かすのはもう少し先なのかなと感じてしまいました。
それくらい壮絶な闘いでした。
◆
さて、今月のコラムは、
研修でも実施している「やわらか頭」を作るトレーニング方法についてのご紹介です。
皆さんは、「ウミガメのスープ」というトレーニング方法をご存じでしょうか?
問題はこんな感じです。
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男がレストランでウミガメのスープを注文しました。
一口それを口にした男はウエイターを呼び、
「これは確かにウミガメのスープかね」と聞きました。
ウエイターは「さようでございます」と答えました。
そして、その夜、男は自殺してしまった。なぜでしょうか?
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出題された側(=回答者)は、
事態の真相に迫るために、出題者へ質問をします。
出題者は真相に基づいて、
正直に「Yes」「No」「関係なし」のいずれかで回答。
制限時間内に真相に辿り着いたら、回答者の勝利です。
研修での制限時間は5分としています。
出題者へ質問することはできませんが、読者の皆さんも少し考えてみてください。
では、真相をお伝えします。
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男は船に乗っていました。ある日、船が嵐に会い沈没。
数人の男と共に救難ボートで難を逃れたが無人島に漂流してしまう。
食料に瀕した一行は体力のない者から死んでいく。
やがて、生き残っているものは、
先に死んでいった仲間の肉を生きるために食べ始めるが
一人の男はこれを固辞する。
当然、その男はみるみる衰弱していった。
見かねた他の者が「これはウミガメのスープだから」と偽り、
男にスープを飲ませ、救難まで生き延びました。
しかし、生き延びて訪れたレストランで
明らかに味の違う「本物のウミガメのスープ」に直面し、
そのすべてを悟り、自死に至ることとなった。
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いかがでしょう。真相に辿り着くことはできたでしょうか?
私が研修中に、この真相を伝えると
一瞬ですが「そんな悲しいストーリーだったの…」という重たい空気になります(笑)
このトレーニングでは、真相に辿り着いたかどうかは重要ではありません。
さまざまな角度から出来事を見つめる思考習慣を身につけること、
目の前で起きた出来事を「当たり前」「そんなの常識」と片付けず、
何か特別な事情があるんじゃないかと考えられるようになることを
ねらいとしています。
◆
俗にいうラテラル・シンキング(=水平思考)のトレーニング方法です。
私には、高校生くらいから、
何かアイデアを出さなければならない場面で
正解(=出題者から求められている答え)を考える傍らで
「お前、バカじゃないの!」と言われるような答えを
意識的に思考する習慣があります。
実際に、「バカじゃないの」「ふざけるな」と言われたこともありますが、
時として「面白いね」「発想がユニークだね」という評価をいただくことも
少なくありません。
ウミガメのスープのいいところは、
無理やり行間を読まなければならないところにあります。
実際、研修でお題として提供すると
多くの人が、男の生活や人生に思いを馳せ、事実に合わせた物語を紡ごうとしますし、
中には、真相よりも面白いものもあります。
ということは、
考えるためのバッターボックスに立っていないだけで
バッターボックスに立てば、それなりに答えを見つけられるということです。
◆
「VUCA」などという言葉で、
正解のない、曖昧で、不確実な時代だと言われています。
その中で、解を見つけるには、
そのための問いを立てる力が必要で
その力をウミガメのスープは鍛えてくれるという訳です。
他にも以下のような問題があります。気が向いたらやってみてください。
① 「やぁ」 彼女を初めて見た瞬間、男は生涯、彼女を助けていこうと誓った。
一体どういうことでしょうか?
② ある村の住民たちは、しばしばその村一番のお馬鹿さんを相手に笑っていた。
彼はピカピカの50セントコインと、クシャクシャの5ドル札を差し出されると、
いつも喜んで50セントコインを取るのである。
5ドル札は50セントの10倍もの値打ちがあるのに、
なぜ彼はいつも50セントのコインを選ぶのだろう?
③ 停電になったので、男は花粉症のクスリを飲んだ。
一体なぜしょうか?
④ 死んだはずの男をもう一度殺した女。
しかし、男がまだ生きていたことが判明したため、女は絶望した。
一体どういうことでしょうか?
⑤ ハイキング中にある動物を見た女性は悲鳴を上げた。
しかし、次に同じ動物を見つけた時には、歓声をあげた。
一体、なぜでしょう?
真相が知りたい方は、Facebook等で個別にご連絡をください。
今年も一年、お世話になり、ありがとうございました。
新しい年もよろしくお願いいたしますm(__)m
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