#26
襷(たすき)の魔法
◆1989年インターハイ3000メートル障害において、8分54秒27の大会新で優勝。(同年スーパー陸上で8分44秒77の高校記録樹立)早稲田大学競走部在籍中の1991年に1年生ながら箱根駅伝2区走者として抜擢される。トップでタスキを受けながらも、折からの体調不良により脱水症状に陥り、後半大失速するというアクシデントに見舞われる。トップから14位に転落し、フラフラになりながら右に左に蛇行し、時に歩きだしたり、立ち止まり両手で顔を覆うシーンがテレビで生中継され、この大会での思い出深いシーンとなった。結局、次走者の花田にはなんとか中継に成功。しかしその失敗をバネに、1992年の全日本インターカレッジ10000mにおいて28分52秒25で優勝。翌々年の箱根駅伝1区(21.4km)では、1時間2分9秒の区間新記録を出し、区間賞を取り、早大三羽烏と呼ばれた同期の武井隆次、花田勝彦や、その年入学した渡辺康幸とともに往路優勝、総合優勝に貢献した。 ※ウィキペディアより抜粋
◆彼の名前は、櫛部静二。駅伝ファンなら、1991年の出来事が記憶に残っているだろう。見ている我々が、「もういいから棄権してくれ」と叫びたくなるような脱水症状に見舞われたにも関わらず、櫛部は、朦朧とする意識と戦い、花田に襷を繋いだ。櫛部を支えたのは、何だったのだろうか。
◆襷が繋がらないということは、チームが棄権になる。自分一人が棄権になるのではなく、10名の駅伝メンバーやその他の部員、関係者全員が、棄権したことになる。櫛部の脳裏には、自分のことではなく、このように周囲の人たちの顔が浮かんでいたのではないだろうか。
◆今、トヨタがリコール問題にさらされている。そして、豊田章男社長が、米国の公聴会で証言を求められた。この公聴会の後に豊田社長は、トヨタの米国の販売店や工場関係者らとの対話集会に出席し、「公聴会で私は一人ではなかった。全米のトヨタの仲間たちが支えてくれた」と涙ながらに英語のあいさつ文を読み上げた。 なぜ、豊田社長は感極まったのだろうか。
◆襷の魔法とは、自分は他者から支えられて存在できているという真実を受け止めることを促し、誠実な自分が引き出されることである。誠実さと真剣に向き合えれば、人は、もの凄い底力を発揮できる。櫛部の走りや当事者として現場に出向く豊田社長には、自分のためという考えは微塵もないのは明白だ。
◆我々には、何本の襷(支え)が掛けられているのだろうか。家族からの襷、会社からの襷、顧客仕入先等からの襷等々、数えきれないほどの襷が掛けられている。自分に掛っている襷を意識すれば、襷の魔法がかかる。襷の魔法をたくさん掛けて、自分の持っている底力を大いに引き出していただきたい。
◆次回のコラムの予告 「宮里藍ちゃんの快進撃」です。4月1日をお楽しみに。
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