#93
90歳になっても初々しいお爺さんで!
私は最近、「初心忘るべからず」ということわざが、ちょくちょく頭に浮かびます。
このことわざの意味は、
何事においても、“始めた頃”の謙虚で真剣な気持ちを持ち続けていかねばならないという戒め
なので、これまで私は、新入社員の方々に向かって、
「今の初々しい思いを、何年たっても忘れないでください」という思いを込めて、
「初心忘るべからず」を説いていました。
このように、今までごく当たり前に、「初心忘るべからず」を使っていたのですが、
「はたして、初心とは、若手の新人だけが対象なのだろうか?」
との疑問が、ふとした拍子に噴出しました。
考えたあげく、
「若手の新人だけが対象ではない」
という結論にいたりました。
それは、
入社10年目の社員にも、“何かを始めたばかり”ってあるからです。
具体的には、担当顧客が代わったり、エリアが代わったり、マネジャーに着任したり、
新システムが導入されたり、法律が改正されたり・・・
“何かを始めたばかり”の取り組みは、入社10年目だろうが、20年目だろうが、数限りなくあります。
家庭では、どうでしょう。
全てのことをわかったような顔をして、我が子と接していますが、
真実は、違います。
自分の子どもを授かって、初めて親になるわけですから、子どもが1年生なら、親も1年生。
子どもを育てて10年が経過すれば、10年分の経験を積んだ親になっているのかというと、
それも違いますよね。
それは、3歳の子どもと、6歳、12歳の子どもとでは、その性質も環境も全く異なるからです。
夫としても妻としても、同様です。
さらに、老後。
年老いるのは、人生初めての体験。
体力や知力が衰えるとどんな感じになるのかなんて、実際に老いてみないとわかりません。
しかしながら、人は、いつの頃からか、自分は全てわかったような気になって、
人様に意見をしたりしてしまいます。
どんなに必死に経験を積んでも、どんなに懸命に勉強をしても、
自分がわかることなんて、ほんのわずかでしかないのに。
このように思考を巡らせると、
「初心忘るべからず」とは、「一期一会」に通じます。
親も妻も子どもも、職場の人も、お客さんも、知人も、誰も彼も、
前回会った時と同じではない。
従って、接する人や事の全てが、毎回、毎日、毎度、初めての出来事なんだ。
こう考えると、人や事に真剣に接する意義が、ストンと腹に落ちるのです。
「初心忘るべからず」とは、新人ではなく、
わかった気になって人や事に接している、私のような愚か者に苦言を呈するために、
世阿弥が残した教えなのでしょう。
今回のコラムは、当月に晴れて結婚する知人へのお祝いの思いを込めて作成しました。
挙式では、「「初心忘るべからず」は、結婚した今の気持ちを忘れないようにという意味ではなく
10年(ダイヤモンド式)経っても、25年(銀婚式)経っても、50年(金婚式)経っても、
その時点を初心として、新郎新婦ともに末永く寄り添ってください」とのお祝いをお贈りします。
そして、私自身も、60歳になっても、70歳になっても、80歳になっても、
初々しい人生を歩んでいきますと表明します。
初心とは、初々しさ、ときめき、わくわく感に満ちたもの。
90歳になっても、なお初々しく日々の出来事と向き合う。
こんな爺さんになりたいですから。
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