#122
萩往還140kmの道のりが教えてくれたこと
5月3日から5月4日にかけて24時間以内に140kmを走る、萩往還マラニック大会に参加しました。
萩往還は、250kmの超ウルトラマラソンがメインの伝統のある大会です。
平成元年に第1回が開催され、今年の平成30年の30回を持って、
愛好者に惜しまれつつ終了してしまう、ある意味記念すべき大会。
私が、この大会への参加を決めたのは、昨年の6月。
マラソン仲間から誘われたのがきっかけでした。
2017年大会で250kmを完踏した知人から、
2018年が最後の大会になるので出るようにと強く勧められたのですが、
これまで私は、100kmを1回しか走っていないので、尻込みしていました。
しかし、知人に押し切られる形で、「そこまでいい大会だと言うのなら出るよ」と、
承諾してしまいました。
大会の申し込み開始日時は、8月1日20時。
知人から、クリック合戦になるから20時ピッタリに手続きを始めるように言われ、
その通りにしました。
無事に申し込みを完了すると、間もなく、受けつけが締め切れられてしまいました。
定員は、
・250㎞マラニックコース500名
・140㎞マラニックコース500名
・70㎞マラニックコース600名
・35㎞歩け歩けコース550名
だったのですが、開始からわずか8分で、250kmと140kmの枠は埋まってしまいました。
私が申し込んだ140kmの参加料は、2万円。
加えて、山口までの移動交通費、宿泊費、食事代、夜間走用のヘッドライト、
ザック類などの購入費などの総額は、8万円を超えます。
ちょっとした海外旅行ができるだけの費用が掛かるにもかかわらず、
8分で申し込み枠が埋まる盛況ぶり。
250kmや140kmという超過酷な大会に、これだけ多くの人が申し込んでくる。
私には、まったくもって意味不明な状況。
でも、走ってみて、多くの人が殺到する理由がわかりました。
それは、自分には、こんなにも大きな力があるのだとの実感を持てるから。
140kmという距離を走破するために、私もそれなりに練習を重ねました。
60kmのロング走や、月間の総距離目標の達成。
ストレッチやサプリメントの摂取。
体幹トレーニングも取り入れました。
ところが何ということでしょう、大会1週間前の調整走で、股関節痛を発症してしまいました。
それから2日間は、痛くて歩くのがやっと。
それ以降、恐る恐る走ってみましたが、痛みは消えません。
山口へ移動する前日に、行きつけの鍼灸院で施術してもらい現地入り。
140kmどころか、10kmの距離も走れるのかとの不安を抱えながらスタートしました。
走り始めて1時間が経過すると、
雨が降りだしそのうちに強い風も吹き出したため、体感温度がどんどん下がります。
雨は2時間ほどでやみましたが、次は、山道に入り上り坂に。
無我夢中で走っていると、第一の関門になる50km地点のエイドステーションに到着。
スタートから6時間30分が経過し、時刻は、0時30分。
ここから、大会の売りになっている、萩往還に。
(「萩往還」とは、慶長9年(1604)毛利輝元が
萩城築城後に山陰と山陽を結ぶ参勤交代道として開いた道とのことです。)
山越えの厳しい道が、およそ25km続きます。
復路も往還を通るので、合計50kmが、山の険しい道。
25kmもの距離が山路だと、坂道が嫌だなんて考えていられない。
この先、上りか下りしかないと、脳が自動的に覚悟する。
こんな感覚になりました。
また、25km過ぎから私と一緒に走ってくれた女性
(彼女はウルトラマラソンを何回も走っている経験者)曰く、
足に故障があるのは当たり前。
どこも痛くない状態で走っている人は、
ウルトラマラソンをしている人にはほとんどいないとのことでした。
これまでの私は、
・長い上り坂が続くレースに参加すると、なんでこんな意地悪なコース取りをするんだ。
・雨や風に見舞われれば、今日に限って、こんな悪天候になるなんて。
・膝が痛いからまともに走れない。
と、心のどこかで考えていました。
ところが、140kmという長い道のりが、
・道が険しいのが当たり前。
・天気は雨が降ったり、風が吹くのが当たり前。
・足は、どこかが痛いのが当たり前。
というように、私のこれまで持っていた当たり前の感覚を変えてくれました。
するととても不思議なことに心がとても楽になる。
結果、あらゆる出来事をごく自然に受け入れられ、楽しみながら走れたのです。
萩往還140kmの道のりは、私の心を一回りも二回りも大きくしてくれました。
自分には、まだまだ眠っている力があるのだなとの思いに駆られ、成長欲も増しました。
走るとあらゆる食べ物が美味しくなるのですが、
目に飛び込む風景や肌に感じる気温や風、これらも、心に美味しい栄養になります。
みなさんも、自身の潜在能力を覚醒させるきっかけを得るために、ウルトラマラソンを走ってみませんか。
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