#6
未知の体験の勧め
※HOT WILLer とは、「独自の志を持ち、その実現に向けた活動を実直に続けている人」を指す。この方々に向けた応援メッセージを毎月贈り続けている。※
ただいま我々は、年に1回の海外研修を終え、フランスのパリ、シャルル・ド・ゴール空港から成田へ向かう飛行機の中にいる。パリは乗り継ぎ地で、今回は、ドイツのベルリンとフランクフルトを起点にして旅をしてきた。この詳細は、小川のコラムとアッシュのアルバムを参考にしていただきたい。
今回のHOT WILLerへのエールは、“未知の体験の勧め”である。海外へ旅行することは、未知の体験をする代表的なイベントだが、趣味でも、社交の場でも、何でもいいからこれまでに体験したことがないことに取り組むことは、新たな自己発見をもたらす。
HOT WILLerは、熱い志を持っていることが特徴だが、やもすると、自分の考え方に囚われ過ぎて、物事の本質を見抜けなくなってしまう傾向がある。このことは、頭ではわかっているのだが、修正することは結構難しい。それは、熱い志は、信念と等しいので、そこから導き出された結論を疑うことは、信念を曲げることと誤解しやすいからだ。
我々HMC(アッシュ・マネジメント・コンサルティング)では、“Warm Heart Cool Head”を標語に掲げている。この標語は、まずは、何かを成し遂げたいという熱い意志を持つことを原点として、この意志を貫き成果に結びつけるための方策を練るには、冷静な判断が必要不可欠であることを意味している。
このことを営業に例えて説明しよう。熱血漢型の営業マンは、自分が取り扱っている製品の長所を、これでもかという勢いで説明する。営業を受けている顧客は、その熱意に感心はするが、製品の良さがいまひとつ理解できず、購入を見送ってしまう。“Warm Heart Cool Head”型の営業マンは、顧客が求めていることを導き出すような質問を、沈着冷静に積み重ねて、購入する意思を固めさせるような営業をする。
自分の信念をこんこんと説明し、部下を説き伏せたつもりになっている熱血マネジャーも同様だ。部下が抱えている問題の本質を導き出して、その解決策を提示しなければ、本当の意味において部下のやる気は醸成できないのに、自分の信念を熱く語ってしまう。
そんなHOT WILLerのみなさんが、冷静な判断力を養成するには、未知なる体験をすることが最も有効である。パソコンのソフトをマニュアルを読みながら自力でインストールするとか、楽器に挑戦するとか、何でもいい。もちろん、海外旅行もしかりである。
未知なることに独力で取り組み、結果にたどり着くには、気合だけではどうにもならない。慣れ親しんだ業務では、この気合だけではどうにもならないことがあることを、忘れてしまいがちだ。何年、何十年、その業務に従事しても、未知なることは際限なくあり続けるはずなのに。
未知なることに取り組むと、自分を “ど素人”にしてしまう。だから、マニュアルに書いてあることや、他者からのアドバイスを受け入れ、一つひとつの手順を考えながら、慎重に事を進めていかざるを得ない。
この“ど素人”の感覚を失ってはならないのだ。“ど素人”の感覚がマンネリを打破し、仕事の仕方の進化に結びつくからだ。
1月に1回とは言わないが、1年に1つでいいので、未知なる体験を自分に課す計画を立てて実行に移せば、“Cool Head”の鍛錬になることは請け合いだ。
我々HMCメンバーは、今回の海外研修でも“Cool Head”を鍛える上で、十分な体験を積むことができた。来年の渡航先はほぼ決めているが、“Cool Head”を相当駆使しなければ太刀打ちできそうもないところを選んだ。だいぶ先の話になって恐縮だが、来年のレポートをご期待いただきたい。
(行き先は乞うご期待ということでお許し願いたい)