#14
1:6:3では組織は崩壊する
持っている資質を凡人はなかなか開発することができない。それは、何故なんだろうかと、よく自問自答する。 我々凡人は、概ね次の5つに分類できるのではではないだろうか。
1)自分の資質を開花させようという欲求が低い
2) 何かを成し遂げたいという意欲はあるが、目標が定まらない
3)ある目標を定めてみたものの、努力の仕方が正しくないため成果に結びつかない
4)努力の仕方は正しくても、実行度合いが中途半端なため自己革新に至らない
5)そもそも設定する目標が低すぎる
皆さんや、周囲の人たちを分類すると、何番に該当するだろうか。資質を開花させる対象を仕事にして検討していただきたい。
1)のように仕事に対して無気力な人につける薬を私は知らない。やる気のない人に、やる気を出せと他者が言っても、それは余計なお世話になる。他者がある人の資質を見出して「このことを本気でやったら、かなりの仕事ができると思うよ」と助言しても、その本人にやる気がないのなら、何にも意味がないからだ。
ところで、近頃この1)の人たちが増えている感じがするが、それは気のせいだろうか。仕事への意欲がないというと言い過ぎかもしれないが、現状維持で満足している人が多いと表現し直せば、私のこの感覚に同意してくれる人が増えるのではないだろうか。
この人たちに施す妙案は浮かばないのだが、みんなが現状維持でいいと発想し、変化する環境を横目にしながら何も手を打たなければ、その組織は間違いなくビジネス社会から排除されてしまう。
先日、コンサルティングをさせていただいている企業の社長から次のようなお話を頂戴した。「以前は、2:6:2の法則で組織が成り立っていたが、今は、1:6:3になっている」と。1の割合だけしか存在しない組織の牽引役が、3の割合で存在するぶら下がり社員を補うだけの働きをするのは、現実的に極めて難しい。従って、3の人たちの底上げができなければ、全員で共倒れになるという危機感の表れだ。
会社組織は、チームプレイで成り立っている。10人の組織を想定した場合、1:6:3では苦しいことは誰もがイメージできる。組織という船をある方向に舵を切ろうとしているのに、船員の3の割合の人たちがわれ関せずという反応をされたら、1の割合の船員だけではなく、中間層の6の割合の人たちもマイペース船員に「いい加減にしろ」と問題を指摘するはずだ。
そんな緊張感が企業組織には常にあってしかるべきで、今が、不景気だから特別に持たねばならないというわけではない。
企業は、存続してなんぼである。どんな存亡の危機にさらされても、企業は経営を継続しなければならないのだ。
意欲のない人に意欲を引き出す妙案がないということは、打てる対策はただ一つ。「船から降りてくれ」という退場勧告だ。対価を得ることを目的に仕事をしているのだから、対価を得るに値しない人に突きつけられる、企業経営の現実から逃れられないのだ。
1:6:3はあり得ず、2:6:2では当たり前。できれば、3:6:1、いや4:6:0になれれば、企業が存続する目的を果たすだけではなく、組織メンバーに相互信頼が生まれ、この上ない幸福感を全員で享受できる。
※HOT WILLerとは、「独自の志を持ち、その実現に向けた活動を実直に続けている人」を指す。この方々に向けた応援メッセージを毎月贈り続けている。※