#15
顧客が喜んでお金を払うサービス
3月24日は、WBCで侍ジャパンが見事に連覇を果たし、日本列島が熱狂の渦に巻き込まれた。テレビの視聴率は36%を超え、さらに占拠率が70%台となり、テレビをつけていた人の7割がWBCの放送を見ていたことになる。
また、街頭インタビューでは「侍ジャパンの連覇で、明るくなりました」とのコメントが放映され、日本国民が格別な思いを味わった最良の日になった。
勝利すると、または、何かを成し遂げるとこんなに大きな達成感を得られる。この事実は誰もが知っている。であれば、閉塞した経済環境を打破するには、侍ジャパンの代表選手と同じように、みんなが必死になって目標達成に向けた行動をすればいい。
我々ビジネスパーソンにとっての勝利とは、業績目標を達成すること。業績目標とは、売上目標や収益目標を指すのはいうまでもない。ビジネスにおいて収益を得るには、お客様から提供する商品・サービスの対価を頂戴しなければならない。
日本には、世界第2位のGDP(500兆円強)の経済規模があり、個人の金融資産1400兆円という宝が、相変わらず存在している。
顧客がお金を払いたくなる商品・サービスを開発すれば、必ず収益は上がる。
私ごとになるが、先日、家内がちょっとした病気かかり、しばらく通院することになった。その病院はある分野を専門とし、患者さんは関東全域から通ってくるらしい。表参道を最寄り駅としているため、私の自宅からかなり離れて不便極まりない。
にも関わらず、家内は嬉しそうに通院している。病人なのにだ。幸いにも重たい病気ではなかったこともその一因だろうが、どうもそれだけではなさそうなのだ。
「お父さん、お父さん、○○病院の受付って凄いんだよ」とか、「どの先生も親切で、コンピューターを見ながら私の質問に丁寧に答えてくれるんだよ」「入口では、婦長さんが扉を開けて、挨拶までしてくれるんだ」というように病院でのできごとを笑顔で事細かく教えてくれる。さらに話を聞いてみると、表参道という立地もポイントになっていることが分かる。女性が歩いても飽きないというより、行って楽しいところに病院があるのだ。 治療費はもちろん馬鹿にならず、家計を圧迫する。財布の要を握っている主婦は、出費にはかなりシビアで、我が妻もその例外ではない。でも、片道1時間という時間と交通費をかけ、治療費を払っても嬉しそうにしているのだ。挙句の果てには「今度、お父さんも一緒に行こうよ」なんて言い出す次第だ。
この病院は専門分野を明確に打ち出すことで差別化を図り、立地も、サービスも、技術も、設備も、この専門分野に合わせて整備している。
私が、この病院の事例を取り上げたのは、流行っているということを伝えたいのではなく、顧客が喜んでお金を払うサービスが存在することを、読者のみなさんに思い出して頂きたかったからである。
「いや~、病院だから特別だよなぁ」と思った方は、清水克衛著『繁盛したければ一等地を借りるな』学習研究社の本を読まれるといい。顧客に喜ばれる本屋とは何ぞやが分かり、工夫次第でいかようにでも対処できるという勇気がわいてくるに違いない。
※HOT WILLerとは、「独自の志を持ち、その実現に向けた活動を実直に続けている人」を指す。この方々に向けた応援メッセージを毎月贈り続けている。※