#51
我が子にもらった幸せ
さだまさし、コブクロ、ケミストリー
この3組みのミュージシャンの共通点は、なんでしょうか。
答えは、我が娘。
娘が通っていた学校が開催したコンサートに彼らが招かれ、
そのお陰で、家内も私も、彼らの歌声を聴けました。
(誰も当たるハズもないクイズを出してしまい、失礼しました。)
この春、娘は、無事に大学を卒業し、社会人として旅立ちます。
思い返すと、娘が我々のもとに生まれてきてくれたお陰で、
たくさんの幸せを運んでくれました。
生まれた時から、可愛くて愛おしくて、この世の中で一番の赤ちゃんだと
心の底から思い、住んでいた町の写真コンテストに応募し、
地域新聞に掲載されたときには、嬉しくてたまりませんでした。
その写真がこちらでして、ジグソーパズルにして額に飾っています。
小学生になると、ピアノを習い、色んな曲を弾いてくれました。
その中でも、エルメンライヒ/紡ぎ歌(http://www.youtube.com/watch?v=uXRQDeoU8SA)
が、私は好きで、これを聴くと、曇っていた心が一気に晴れるような感じがしました。
運動会での徒競走やダンス。
笑顔で、一生懸命に取り組んでいる姿が、勇気を与えてくれました。
特に、スイミングスクールには、週に6回も通い、
毎回、2000メートル以上も泳ぎ、クタクタになって帰ってきました。
スイミング用のタオルキャプをかぶっている女の子を街中で見かけると、
この頃の娘を、今のことのように思い出します。
※これ以上回想すると、親ばか丸出し(すでになっていますが)なるので控えましょう。
世界で40年以上よみつがれている名著
東大・早稲田・慶応で文庫本ランキング1位
と帯びにうたわれている、ウィリアム・H・マクニール著の“世界史”(中公文庫)に、
“完全な人間の集団と、それ以前の人間に似た生物との間の大きなちがいは、幼児期と少年期の長さにある。つまり、人間の場合、幼児が親に依存する期間が長くなるから、それにともなって親が子に生活の技術を教える時間が多くなるのである。子供の側から言うと、一人前になるまでの時間がのびることは、人間形成に時間がかかるようになり、したがってものを学ぶ能力が飛躍的に増大することを意味する”
と記載されています。
一人前になるまでに時間がかかるので、学ぶ能力が増大した。
この分析結果、気になりませんか。
通常は、あることの習得に時間がかかると、素養がないと諦めてしまったり、
企業では、評価が下がってしまったりします。
ところが、そもそも人間が人間であるのは、一人前になるまでに時間がかかるからだと、著者は分析しています。
さらに“世界史”では、次のように述べられています。
“人間の行動は、DNAのすばらしい機構によって遺伝された個人の生物学的な資質よりも、人が社会の中で学んだものの力によってはるかに律せられるようになった。文化的進化が生物学的進化の先に立ったとき、本来の厳密な意味での歴史がはじまったのである。”
人の律する力は、社会の中で開発され、そして、歴史のはじまりとなったのです。
本日から、新年度です。
新入社員は初々しく、やる気と希望に満ちています。
ですから、入社式の記念写真は、全員が満面の笑顔です。
そして、新人の純粋な学ぶ姿勢が、先輩社員の初心を呼び起こし、
忘れかけていた、学ぶのが楽しいという、心地のいいメロディーが心に響き、
新人の毎日の必死の努力が、組織に勇気と活力を与えます、
親が子から幸せを感じるように、
新人を受け入れる企業も、彼ら彼女らの育成に幸せを感じられるか?
人間の歴史も学習からはじまり継続しているように、
企業も新人を育成しなければ、将来に続きません。
一人歩きできない新人は必死に学び、
先輩も彼ら彼女らの期待に応えるために、懸命に学び教える。
この必死さと懸命さの学び合い(愛)が、組織に活力をもたらします。
学び合い(愛)に時間がかかるのを面倒くさいと捉えたり、素養がないとの諦めに結びつけるのではなく、律する力を身につける過程として、それを楽しみ、幸せを感じる。
親と子がそうであったように、
企業の先輩と後輩、上司と部下も、幸せを噛み締めて育成にあたっていただきたい。
そんな願いを込めて、今回のコラムを著しました。