#165
“えり好み”は我儘な発想
知人の娘さんから、次のような相談を受けました。
「小さな子どもの面倒をみながら在宅でできる仕事をしたいのだけど、
何かないかと父親に相談したところ、友人の社長を紹介してくれた。
その社長から、テレアポの仕事を依頼され、何件か電話したのだが、
電話中に子どもが泣いてしまったりするので、テレアポは難しいと思う。
もう少し融通のきく仕事をしたいのだけど、何かないでしょうか」
この相談を受けた私は、彼女に、
「テレアポは、何件したんですか?」と、尋ねたところ、
60件くらい電話したとのことだったので、
「電話をしての反応はどうでしたか。
今、忙しいとか、電話はしないでというようなことを言われて、
辛い思いもしたんじゃないですか」
と、探りを入れてみました。
すると、
「はい、おっしゃる通りで、電話してもあまりいいお返事をいただけないので、
かなりしんどいです」と、想定した答えが返ってきました。
私は、
「ということは、テレアポは子どもが泣いてしまうからできないのではなくて、
辛いからしたくないというのが、本音なのですね」との確認をし、
テレアポが精神的に辛い仕事なのを容認した上で、
次のような流れでアドバイスしました。
「テレアポは辛いので、他に融通がきく仕事をしたいと依頼主に伝えたら、
その方は、どう思いますかね。
それは、致し方ないですね。では、こちらの仕事ならできそうですかと、
代案を出してもらえそうですか」
この問いかけに彼女は、目が覚めたような表情になり、
「平堀さん、おっしゃっている意味とてもよくわかります。
在宅でできる仕事がしたいとの私の願いを何とか叶えてあげたいとの思いを持って、
父の友人の社長はテレアポの仕事を依頼してくれたのに、
辛いからという理由でお断りするのは筋違いですし、
とんでもない我儘な発想だと気づきました」
と、言ってくれました。
おそらく、仕事を依頼した社長は在宅でやってもらえる仕事が浮かばず、
苦慮したのではないでしょうか。
そんな中で、ひねり出した仕事がテレアポ。
彼女の話からこのテレアポは、
自社名を伝えれば担当者も電話に出てくれる御用聞き的な内容で、
ストレスの度合いはそれほど高くないような印象を持ちました。
このことから依頼主の社長は、
友人の娘さんのために一肌脱いであげたいとの思いがあったのだと推察できます。
聡明な彼女は、私とのやり取りから、この社長の思いもくみ取ったのでしょう。
その後、彼女はテレアポの仕事をやり切り、
この経験から業界や業務知識を得られたので、
営業事務の仕事を在宅でしているそうです。
最高の仕事をした人へ与えられる、最高の報酬とは?
この質問の答えは、なんでしょうか。
それは、「仕事」と言われています。
今回取り上げた知人の娘さんからの学びは、
「最初に与えられた仕事をえり好みしなかった」ことにあります。
“えり好み”を我儘な発想だと捉えて、
依頼主が苦慮しながらも与えてくれたテレアポの仕事を、やり切ると決心した彼女。
彼女には、父親と友人関係にある社長への配慮もあったのでしょうが、
それよりも、わが子のために、少しでも収入を得たいとの思いがあった。
まさに、「母は強し」と言われる通り、
わが子への思いを糧に辛いテレアポに取り組んだのでしょう。
※作業の分かりづらさが、働き手の皆さんの負担にならないように。
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