自分以外の“こと”にも関心を持とう

次の文章を読んで、以下の問いに答えてみてください。

鳥や魚のように、自分の眼が頭の両側についていて、
右の眼で見る景色と、左の眼で見る景色と別々にまるでちがっていたら、
この世界がどんなに見えるか、
そうしてわれわれの世界観人生観がどうなるか。……

いくら骨を折って考えてみても、こればかりは想像がつかない。
鳥や魚になってしまわなければ、これは分からない。

（寺田寅彦作「柿の種」より）

この文章は何について書かれていますか。
ア、イ、ウの中から正解を選んでください。

ア）眼の位置と、世界の見え方や世界観人生観とは関係が深そうだが、
想像はつかないということについて。

イ）鳥や魚の眼の位置は、人間の、世界の見え方や世界観人生観と深い関係が
ありそうだが、想像がつかないということについて。

ウ）人間と鳥や魚とは眼の位置がちがうので、世界の見え方も世界観人生観も
ちがっているだろうが、はっきりは分からないということについて。

 

この問題は、
子供の習い事図鑑（https://startoo.co/）のサイトより転載しました。

文末に正解を記載しますが、読解問題からコラムを始めたのは、
自分以外の“こと”に、もっと関心を持ちましょう
という問題提起をするためです。

自分の“こと”には関心は高いが、自分以外の“こと”には関心が低い。
このように感じることが、たびたびあります。

例えば、職場内で生じる、不平不満。
「自分は、一生懸命に仕事をしているのに、先輩から認めてもらえない」
との感情を抱いたとします。

自分の“こと”に関心が高い人は、
自分の頑張りだけに眼がいき、先輩の“こと”には意識が向きません。

なので、
自分は、遅刻をしないし、挨拶もしているし、忠実に仕事をしているのに、
なんで先輩は認めてくれないのかという思考に陥り、不平不満に結びつきます。

ここで、先輩の“こと”に意識を向けると、
先輩が担っている仕事は何なのか、困っていることはないか、
というように、確認する事柄が浮かんできます。

そして、どうするか？

先輩に尋ねることになるのですが、
ここで、コラムの冒頭に文章問題を記載した理由を考えてもらいたいのです。

先輩に、色んな“こと”を聞くのは、基本中の基本でとてもいい行為なのですが、
「推しはかる」能力も鍛える必要性を、文章問題を通じて訴えたかったわけです。

 

文章問題を解くとは、著者が伝えたいことを理解することです。

前出した文章は、
人間と鳥や魚とは眼の位置がちがうことを読者に伝えたいのでしょうか。

おそらく、そうではないでしょう。

眼の位置と、世界の見え方や世界観人生観とは関係が深そうだ
ということを伝えたいのだと、読み解くように、
先輩が担っている仕事は何なのか、困っていることは何なのか
と、先輩の言動を観察して、推しはかってみる。

このように眼を向ける先を、自分の“こと”から自分以外の“こと”に変えると、
視野が広がっていきます。

視野が広がると、色んな“こと”が見えてきます。
こんな世界観で仕事をすれば、きっと楽しくなるはずです。

 

自分の“こと”で頭がいっぱいになった時、
一息入れて、自分以外の“こと”にも関心を向けてみましょう。

そうすると、いい気分転換ができるはずです。

以上、眼に関連したコラムでした。

 

文章問題の正解は、ア）です。

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