#184
考える時間の確保
研修受講生に、自室に戻っての課題を与えたところ、
「マジックのインクが切れてしまったため、課題に取り組めません」
との連絡が入りました。
取り組み課題は、模造紙に、“ある構想をまとめる” ことで、
8色のマジックセットを受講生に配布していました。
このマジックセットの中で、黒のマジックのインクが切れてしまい、
作業が止まってしまった。こんな状況下での連絡でした。
模造紙に文字や絵、図を書く上で黒はなくてはならない色。
そして、作業時間も限られているのですから、誰でも慌ててしまいます。
この出来事の詳細を補足すると、
自室での作業とは、自分の考えを自分の力でまとめる演習なので、
研修会場の宿泊部屋(個室)にて実施すること。
宿泊部屋への入室時刻は、夕食終了後の20時。
課題に取り組む所要時間は、2時間と設定。
作成納期は、翌朝の9時。(2日目の研修開始時刻まで)
受講生は私のメールアドレスは知っていますが、携帯電話番号は知らないため、
インク切れの連絡はメールでしてきたのですが、
私はこのメールをタイムリーには確認できず、目にした時には、
「他の受講生に連絡がついて、黒マジックを借りられました。
お騒がせして失礼しました。」
との追いメールが入っていました。
私は、受講生の困りごとに迅速に対処してあげられず申し訳ないとの思いと、
他の受講生の協力を得て、課題に取り組めてよかったなとの安堵の気持ちで、
2日目の研修に臨みました。
再発防止策として、
演習で使用するマジックセットのインクの残量を確認することにしました。
さて、このような不手際をお詫びしつつ、
黒マジックのインクが切れていた場合の対処方法が他にないか
2日目の研修の冒頭に、受講生に検討してもらいました。
すると、インクが切れて困っていた受講生から
・研修ルームにあるホワイトボード用の黒マジックを利用する
・ホテルのフロントに、黒マジックがないか内線する
・近くのコンビニで購入する
という案が、すぐに出てきました。
私は、この受講生に、
「昨夜はこの案は浮かばなかったんですか」と尋ねると、
「まったく浮かびませんでした」との回答でした。
ところが、今は、上記の3つの案がすぐに浮かんだ。
ということは、昨夜は浮かばなかったのではなく、
他の案がないかどうか、考えようとしなかったというのが正確な答えではないか
との結論に、受講生ともども至りました。
人は、一つの案が浮かぶと、その案に飛びついたり、縛られてしまいがちです。
それは、他に何か考えるより、目の前のできごとをちゃっちゃとすませたい。
こんな自動思考があるからかもしれません。
でも、ちょっと立ち止まって考える時間を取ると、
飛びついた案よりもいい方策を見出せるかもしれない。
今回の黒マジックの場合、
他の受講生から借りるには、この方が課題を終えるのを待つ必要があったので、
・研修ルームにあるホワイトボード用の黒マジックを利用する
方策を選択していれば、往復5分の時間で模造紙の演習に取りかかれました。
こんな振り返りをしていると、受講生から、
「平堀さん、日常的に取り組んでいる仕事も同じかもしれません。
今まで、このやり方をしてきたのだから、この通りやればいいという、
一つの考え方に縛られていることに気づきました」
との、とても前向きな意見が出てきました。
他にいい方法がないか考える時間を、週に1回、15分確保する。
そして、楽しみながらアイディアを出し、これまでと違った方策を実施してみる。
この繰り返しから、新たな方策が生み出されるというのは、
古今東西語り継がれていることです。
考える時間を定期的に確保すれば、人間が持っている想像力と創造力が養われます。
忙しさを言い訳にせず、1週間に15分でいいので、
アイディアを出す時間を設けてみてはいかがでしょうか。
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