#30
「殊勲の岡田ジャパン」
◆前月のコラムの結びに、7月のコラムでは、B to Cへの経営改革の実際をパリーグのある球団を事例に取り上げて紹介すると宣言したが、パラグアイ戦を目の当たりにして、野球を事例に取り上げていては、あまりにも間が抜けているので、テーマを「殊勲の岡田ジャパン」に変更させていただいた。
◆ワールドカップ前哨戦となる強化試合で4連敗を喫した岡田ジャパンは、予選敗退が濃厚と言われ、岡田監督も強烈にバッシングされていた。そんな最中の6月初旬に、岡田監督の特集番組が放映され、岡田監督は「ワールドカップの目標をベスト4にした理由」について答えていた。
◆岡田監督は、「日本がワールドカップに初出場したフランス大会で、開催国のフランスが優勝した。この時に、パリの凱旋門で繰り広げられた優勝パレートを目の当たりにして、いつかは自分達もワールドカップで優勝したいと思った。この思いが全てのスタートです。そして、その通過点の目標としてベスト4を設定した」と説明した。さらに加えて、「世界のレベルで戦うと、ミドルシュートが打てる距離で相手をフリーにしてしまうと、簡単に決められてしまう。だから、世界戦では当然、中盤からプレスをかける。しかし、日本国内のレベルだと、ミドルシュートはほとんど決まらない。従って、前線にスペースをあけないために、ミドルシュートエリアでは、あえて離れて守っている。国内でこのような戦い方をしていたのでは、いつまでたっても国際試合に通用しない。このことを打破するには、国内のレベルに照準に合わせるのではなく、世界に目を向かわせる必要がある。選抜メンバーが、本気でベスト4を目指せば、国内試合でも国際戦を意識して、中盤からプレスをかけるようになる。日本の選手の本気度に火を着けるのが自分の役割だ」と語った。
◆私は、この岡田監督のコメントに心底納得できた。岡田監督、代表選手、選手を支えるスタッフ等、サッカーに関わる人たちが抱く、「いつかはワールドカップで優勝したい」という純粋な思いに共感でき、下手な心配は無用。彼らのこの思いを尊重しようと心に決め、ワールドカップを見守っていた。
◆2010年6月29日のパラグアイ戦で、岡田ジャパンは惜敗したが、この姿を観戦した私の感想は、“羨ましい”である。それは、120分間へとへとになるまで球を追いかけ、PK戦で敗れても、「もっと試合がしたい」という純粋な欲求が感じられたからだ。負けて悔しいという思いよりも、もっともっと試合を続けたいという選手の気持ちが、私には伝わってきた。「岡田ジャパンよくやった!」「岡田ジャパン、ありがとう!!」という感覚より、「岡田ジャパン、いいなぁ。自分も同じような思いをしたいなぁ」という感じである。
◆この私の思いを言葉に表すのは難しいので、読者のみなさんに、YOU TUBEで次の映像をみていただき、私の思いを理解してもらいたい。YOU TUBEで「渋井陽子 VS 赤羽有紀子 VS 福士加代子」を検索すると「2008年6月に開催された、第92回日本陸上競技選手権大会の女子1万メートル」がヒットする。日本を代表する3人の長距離ランナーが、激烈な戦いをしている姿が、約5分間でダイジェストされている。
◆この映像から、勝ち負けという領域を超えて、競技そのものを純粋に楽しんでいる、没頭している選手の思いが伝わってくる。
◆「苦しみに立ち向かえるのは、苦しみを乗り越えることで、より大きな楽しみを得られることを知っているからである」という言葉を聞いたことがある。岡田ジャパンは、今までと次元の違う、サッカーの楽しみを見出したのではないだろうか。今まで苦しいと感じていたことが、苦しみではなくなったのではないだろうか。この日本のサッカーが変わる歴史的な瞬間を我々は目の当たりにしたと、私は思うのだ。
◆パラグアイ戦を通じて岡田ジャパンは我々に、もう一つ上の次元に昇ってみればと促してくれた。我々がもう一つ上の次元に昇って“楽しむ”のは、国際試合の応援ではなく、本業の仕事であろう。岡田ジャパンにあやかって、もっと楽しい世界へ駆け昇る。そんな第一歩を、本日から踏み出そうではないか。
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