#143
“火事場の底力”
先月の小林のコラム:2020年「年頭所感」
https://www.h-mbo.com/blog/kobayashi/0025/
を読んで、私は、思わず吹き出してしまった。
それは、このコラムに記載されている、
「パスポートVOID事件」
に目を通した瞬間。
小林の同僚の井口が、誤って期限切れのパスポートを持ってきてしまい、
搭乗手続きができなかったという出来事。
このシーンを目の前で見ていた私は、
「正規のパスポートを取りに戻らせる時間がないので、
今回、井口の渡航はキャンセルだな」
と腹をくくっていた。
ところが、小林の思いは違っていた。
おそらく、彼の本心は、
「井口、お前がいなくなったら、
今回の海外研修は、自分と平堀さんと小川さんというメンバー構成になってしまう。
もし、こんなことになったら、俺たまんないよ。そんな地獄みたいな旅行したくないよ」
というモノだったはずだ。
この追い詰められた状況下でひらめいた小林の答えが、
「井口には、翌日の便で現地入りしてもらえばいい」
だった。
井口も、この小林の気持ちを察したのだろう。
井口は、海外旅行の経験も浅い中、片言英語を駆使して自力で移動し、
初日に予約していたレストランにたどり着き、記念すべきディナーを我々とともにした。
井口がレストランに現れた時の小林の顔といったら、
満面の笑みというよりも、井口が来てくれたことへの安堵の表情だった。
この出来事は、まさに、“火事場の底力”の好例だろう。
「このままではまずい」
「この状況はなんとしても打破しなければ」
という思いが高まると、人は、知恵を絞り出し行動する。
「期限切れのパスポートを間違えて持ってきて搭乗手続きができなかった人に、
翌日便で来ればとの案を出すくらい誰にでもできるでしょう」
と思う人もいるかもしれない。
ところが、言われてみればなるほど簡単なことだけど、
それ以前は、思い浮かばなかったという事例は、意外に多いのではないだろうか。
当社の「言われてみれば簡単だけど」のノリで改善した事例を挙げると
・移動式本棚
狭いオフィスを広く使う方法として、
本棚の下にキャスターをつけて移動できるようにした。
・足元ヒーター
東日本大震災以降資源の無駄使いを控えようとの方針を掲げた後、
冬場にエアコンの設定温度を上げ過ぎないために、足元ヒーターを各人に支給した。
・フリーアドレス
オフィスへの出社日数が少ない、私(平堀)と小川、
そして、吉田彩の3人をフリーアドレスに。
このことにより6つのデスクを、7名の社員がシェアして活用している。
そして、18坪のオフィスを社員数10名までは使うとの方針に展開している。
・在来線のグリーン車利用
乗車時間が30分を超える場合、
移動中に仕事をするという条件でグリーン車の利用を認めている。
これら列挙した事例は、すべてがとても簡単なこと。
“火事場の底力”というレベルにまで追い込まれて発案したわけではないが、
厳密には、同じくらいの意識で案を出し、継続してきたと思う。
移動式本棚は、狭いオフィスを研修や会議、
あるいはワイン会というパーティーでも利用できるようにしたい
との本気の思いから出されたアイディア。
足元ヒーターは、東日本大震災の復興支援にほんの少しでも関わりたいとの思いから。
フリーアドレスにも、グリーン車の利用にも、相応の思いが入っての発案だった。
なので、これらの案のそもそもの目的に則した運用を続けている。
小林が、「俺だけにしないでよ」の思いからひねり出した、
井口への翌日のフライト案の事例は、
小林と井口が、“火事場の底力”に匹敵する仕事への思い(使命感)から、
日々の業務に取り組んでいる最近の姿と重なり、
私は、嬉しくなって笑ってしまったのだ。
使命感にあふれて仕事をしている仲間に囲まれるのは、とても心地がいい。
私も、“火事場の底力”をもっともっと高めるために、
当社が掲げる社会的使命の達成のために全力を注いでいこう。
“組織の底力”を上げるのにもってこいの、
動画マニュアル『Teachmebiz』の専用サイトはこちら。
>>>https://teachme.h-mbo.com/