#43
【HAJIMENOIPPO ~はじめの一歩~】
8人制、25分ハーフ、4号ボール、小学生用のゴール、54m×76mのコート etc
これらの言葉から、みなさんはどんな競技を連想するでしょうか?
これは、先月、私たち日本人を熱狂の渦へと誘ってくれた“なでしこジャパン”のルーツと言える第1回全日本女子サッカー選手権大会の実施要綱です。
この条件は、小4になる愚息のサッカーとほぼ一緒です。
今回、なでしこ達が戦ったフィールドは68m×105mなので、下手をするとゴールキックがそのまま入ってしまいそうな大きさです!
全国大会と言っても、第1回大会は出場、全8チーム。
北海道、東北、北信越、中国、四国、九州からの出場チームはゼロです。
(ちなみに直近の第32回大会は出場32チーム! ずいぶん大きくなりましたね)
なでしこジャパンのワールドカップ制覇は、
3月11日の東日本大震災以降、低迷する日本に活力をもたらしてくれました。
帰国後の彼女たちは、ご承知の通り、アイドル並みの人気で、
マスコミに、行政に、引っ張り凧ですね。ついには国民栄誉賞まで受賞します。
再開したなでしこリーグでは、
毎週末試合をする度に、観客動員数の新記録を更新し続けています。
これまでほとんど注目されることがなかったスポーツに、
スポットライトがあたることはたいへん喜ばしいことだと思います。
ここで彼女たちとは別に、スポットライトを当てて欲しい人たちがいます。
それが、なでしこ達のルーツとも言える日本女子サッカーの黎明期に頑張った女性たちです。
確かに、澤選手の卓越した技術と男顔負けのサッカー・センスには目を見張るものがあります。
アメリカとの決勝戦で見せてくれた延長後半の同点ゴールは、
ACミランの世界的ストライカー、イブラヒモビッチを彷彿とさせてくれました。
それでも黎明期に帆を上げた彼女たちの【はじめの一歩】なくしては、
なでしこの物語も成立しないということを忘れてはならないだろう。
テレビで当時の映像を見たが、お世辞にも上手とは言えません。
今の小学生と試合をしたら、恐らく勝てないだろうと思います。
女子サッカーというよりもママさんサッカーという言葉がしっくりきます。
(そういえば、私が子どもの頃は「ママさん●●」というのがたくさんあったなぁ)
しかし、よく考えてみたら歴史のはじまりというのは、すべてにおいてこんなものではないだろうか。
飛行機も、自動車も、電灯も、コンピューターも、社会保障の仕組みも・・・。
例外なく、現代の“それ”とは比べ物にならないくらい不細工で、不恰好で、不備だらけだ。
ライト兄弟の飛行機なんて、とてもじゃないが乗る気にならない。
まだ、発展途上国でバンジージャンプをやった方がマシだ。
それでも、【はじめの一歩】を踏み出した人たちの志は尊い。
現代に生きる私たちは、ここ志に最上の敬意を払わなければなりません。
変人だと嘲笑されようと、
狂人だと後ろ指を差されようと
決して、あきらめることなく歴史を作ってきた開拓者の努力の上に
今の自分の暮らしがあることを噛み締めたい。
そして、これから先の歴史を作る使命を負った人間として
【はじめの一歩】を踏み出す勇気を持ちたいと思います。
東日本大震災の被害状況(8月2日現在/警視庁発表)
死者:15,656人/行方不明者:4,866人