#124
Hyoronka(評論家)に必要なのは…
世界中を熱狂の渦に巻き込んだロシアW杯が終了しました。
6大会連続で出場した日本代表は3度目の予選グループ突破を果たし、
決勝トーナメントの1回戦でベルギーとの死闘の末に敗れました。
しかし、ダークホースの域を出なかったトルコ、パラグアイに対して
得点を上げられないまま敗戦した過去2回と比べ、
優勝候補のベルギーから2点をリードし、
あと一歩のところまで追い詰めた結果には格段の進歩を感じました。
(まぁ、セ●ジオ●後あたりは、絶対に「進歩」なんて言葉を使わないと思いますが・・・)
個人的には、この裏でおこなわれていたバスケットボールワールドカップのアジア予選の結果が
気になって仕方がなかったんですが…(笑)
オリンピックにしても、ワールドカップにしても、
WBCにしても、甲子園も、高校サッカーも、インカレも、
スポーツを通じて国や学校が盛り上がり、一体感を持つ様には、毎回興奮させられます。
◆
さて、日本中を興奮させてくれたサッカー日本代表ですが、
本番前は、相当叩かれていましたね。
直前の監督交代にはじまり、本番に向けた強化試合は連敗、
代表選手メンバーは変わり映えせず、平均年齢は高い。
オッサン・ジャパンなんて揶揄するマスコミもありました。
年齢を言い訳にせず、代表に選ばれるために努力してきた選手たちが、
代表に選ばれたらオッサンと揶揄されるのは、本当に不思議でした。
選ばれなかった若手に奮起を促すのではなく、選ばれたベテランを叩くのかぁ…。
(カズやゴンならわかるが、そもそも平均年齢28.3歳はオッサンなのか?)
本田や長谷部、川島のパフォーマンス不足は試合の度にやり玉に上がり、
目にするだけで気分が悪くなる新聞記事やSNS上の投稿も多数。
議論が活発なのはいいことなんだけど、
何か釈然としないものを感じずにはいられませんでした。
私がサッカーの素人で、戦術のトレンドや世界サッカーの潮流を分かっていないからなのか、
日本代表に対する愛情が足りていないからなのか・・・。
すべてを受容し、甘やかすようなオールOKの姿勢が本人たちのためにならないのは合意できます。
でも、何か違うんんだよなぁ~って感覚がずっと燻っていました。
◆
文句を言ったり、批判をしている人たちは、何がしたいのだろう? 何が望みなんだろう?
本田を外して中島や堂安を代表入りさせることなのか?
ハリルホジッチを監督に戻すことなのか?
それとも、日本代表にストレスを与えてコンディションを崩すことなのか?
多分、どれも正解ではない。
胸クソ悪い記事を書いたり、投稿している人々の多くは、
日本代表が世界で活躍する姿を望んでいるはずだ。
中には、それを望まず「いいね!」や「リツイート」「シェア」の数にのみこだわった
商業主義の権化や虚栄心の塊のような輩もいたのかも知れないが、
恐らく大多数は健全な目的から情報発信をしていると信じたい。
それでも釈然としない、腹落ちしない感覚から逃れられなかったのはなぜだろう?
◆
考えた末に辿り着いた結論は…
結果に対するコミットメントの有無。
誰も自分たちが望んでいる日本代表の理想像、世界での活躍にコミットしていない。
「本田を中島や堂安に変えろ!」と主張する者の多くは、
中島や堂安が出場して期待外れなら、どうどうと彼らに対する失望を口にするだろう。
28.3歳をオッサンと揶揄する輩は、
ヤング・サムライブルーで本選に臨み、予選グループ突破が叶わないと分かるやいなや
その若さを嘆き、精神的支柱としてベテランを連れて行くべきだったと嘯くだろう。
◆
人の課題や欠点を的確に指摘し、舌鋒鋭く断罪する、
根拠も十分、論理的で、自信に満ちている「評論家」たち。
彼らが信用に値するか否かのバロメーターは、
指摘した相手の変化に貢献しようとするかどうか、
つまり、結果に対するコミットメントの有無でしかないのだ。
知識の豊富さ、頭脳の明晰さ、主張の斬新さに騙されてはいけない。
◆
ネットが普及し、個人がSNSというメディアを持つようになった今、
コミットメントのない匿名の評論家たちは増える一方である。
強く意識しなければ、私たちがそうなる可能性も否定できない。
親が子どもに厳しく接することができるのは、
人間としての子どもの成長にコミットメントがあるから。
上司が部下の課題を耳にタコができるくらい指摘するのは、
ビジネスパーソンとしての彼らの成長にコミットメントがあるから。
コミットメントとは、責任であり、愛だと思う。
自分へのコミットメントを感じることができれば、
多少、昂っていようが、語気が鋭かろうが、その指摘は受け入れられる。
だから、私たちは忘れないようにしたい、
その指摘にコミットメントがあるのかということを。
そして、この言葉を胸に深く刻もう、
「不満があるなら、自らを変えよ。さもなくば、従え。」
(多分、リクルート社内で流通している格言)
そんなことを考えた2018年のワールドカップでした。
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